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デノンが「RCD-N12」を発売、CDにHDMI ARC入力まで備えた「全部入り」ミニコンポ

2023年09月25日 11時00分更新

文● ASCII

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 デノンは、HDMI ARCやネットワーク接続に対応したCDレシーバー「RCD-N12」を10月上旬に発売する。2018年発表の「RCD-N10」の後継機種。「音楽とテレビのための完璧なEuropian Hi-Fi Mini System」だという。価格は11万円。カラーはブラックとホワイトが選べる。

 幅280mmとコンパクトな筐体に、CD再生機能、FM/AMチューナー、有線/無線ネットワーク、Bluetooth送受信、Phono入力(MMカートリッジ対応)、HDMI入力(ARC)、アナログ入力、光デジタル入力などを備えている。サブウーファーやヘッドホンの接続も可能だ。65W+65W(4Ω)のClass Dアンプやスクリュー式の金メッキスピーカー端子などを装備しており、本格的な単品スピーカーの接続も可能だ。ヨーロッパで人気の高いシリーズで従来機種同様、CEOLシリーズとして展開。HEOSを搭載した「DENON HOME」シリーズと親和性の高いデザインだ。

CDやレコードも掛けられる多機能コンポ

 HDMI ARC入力を備えたことで、テレビをプレーヤー的に活用できる点はポイント。テレビを介すことで、ストリーミングサービスやゲーム機、HDD/BDレコーダーの音もHi-Fiクオリティで楽しめる。HDMIのリモコン機能であるCECにも対応するため、テレビと連動した電源のオン/オフやテレビリモコンを利用したボリューム調節が可能だ。

 HEOSモジュールを利用して、音楽ストリーミングサービスやネットワークオーディオも楽しめ、CDやレコードプレーヤーをつなぐためのPHONO入力(MMカートリッジ対応)も装備。Bluetooth受信やAirPlay 2などでスマホ連携もできる。コンパクトな一体型ながらかなり多機能な製品となっている。

RCD-N12

背面

小型でエレガントな筐体の実現

 開発に当たっては、製品のサイズを維持しながら機能を増やす点に苦労したという。ポイントとなったのは、熱管理、ノイズ抑制、安定した部品調達の3点。これを音質を大幅に改善しながら実現する点が目標となった。

 このために、HDMIを使ったARC入力については、GND処理を含むデジタルノイズ対策のノウハウをAVアンプの開発チームと意見交換。また、PHONOイコライザーのノイズ対策も困難で、ここはAVレシーバーと同じS/N比74dBに設定。スイッチング電源やHEOSからのノイズ対策をHi-Fi設計チームと意見交換して実現した。キーとなったのはシールドとフォノイコライザー回路のレイアウトで、それぞれを離してシールドした。

 使い勝手の面では、Wi-FiはIEEE 802.11ac対応とし、HEOSの設定も見直して、リモコンで本体操作をすることなく、アプリから簡単にネットワーク接続できるようにしている。

RCD-N12

新旧のメカベース

RCD-N12

振動対策用にワッシャーを入れている。

 メカベースも2ピースから1ピース構造に変更。インシュレーターの考え方を取り入れ、メカベースとメカの間に金属ワッシャーを追加。ゴム、プラスチック2種、銅、アルミ2種、ステンレスの7種から素材を選び、最終的にステンレスを選択した。

 N10シリーズのデザインを継承しつつ新しさを出すため、天板に角度を少し付けて、ミニマムだがエレガントなものにしている。

RCD-N12

裏面から見るとハニカム状の補強が見える。

 キャビネットも分割構造だったものを一体成型に。上部の面取りをして、以前よりも薄く見えるようにした。箱の作りは大変で、一体型のボディを作るためには、上から型を押して取り出すのが一般的だが、スムーズに取り出すためには台形にしないと抜けない(ドラフトアングル)。そこを垂直にするために、4ヵ所から押し込む手の込んだ金型にしたという。デザインはDENON HOMEシリーズと一体感のあるものとし、HEOSを通してさまざまな機器とつながる統一感を持たせている。

RCD-N12

上部手前に操作部を持つのが特徴的

RCD-N12

タッチセンサーの位置などが従来機(左)と異なる。

音質についてのこだわり

 RCD-N12はHi-Fi機器として設計しており、Hi-Fiコンポと同じ思想で一体型のミニマムなシステムを作ろうとしている。アンプはBTL接続に対応するほか、デジタルアンプICも次世代品に変更。新しいパワーアンプの作成によって高効率化した。最適化と音質向上に取り組んだ結果、S/N比が向上(102dBから110dB)し、低インピーダンス化できたという。

 電源回路も一新、オーディオグレードのパーツをサウンドマスターが試聴し、Hi-Fi製品と同じように、妥協のないチューニングを施したとする。低インピーダンス設計については、配線パターンを引き直して、不要部品を取り除いた。例えば、0Ωの抵抗をなくして、パーツを置き直している。

 オーディオグレードの部品もふんだんに投入。インダクターのOFCワイヤーのほか、高音質フィルムコンデンサー、低ESR電解コンデンサーなどを要所要所に使用している。ターミナルもバナナプラグ対応のスクリュー方式に変更。フットパッドも見直している。安定供給の観点で3種類から選んだ結果、Hi-FiのA110シリーズや2500NEと同じ素材になったという。

RCD-N12

従来はバネで止めるタイプのターミナルだったが、ネジで固定するタイプに変わった。

 デノンはCEOLシリーズの純正スピーカーとして「SC-N10」を用意しており、音質のマッチングを取っている。そのために専用フィルターを用意しているが、ここもアップデートした。新規アンプICの性能を最大化するため、リミット値を大きく押し上げてスピーカーのパフォーマンスを引き出せるようにしたという。

RCD-N12

SC-N10と組み合わせた利用イメージ

 なお、本体にはアクティブスピーカーの接続を考慮して、LINE OUT端子やサブウーファー出力を装備。Bluetooth送信にも対応する(音量調節はイヤホン、ヘッドホン側で、スピーカーと同時再生も可能)。天板とリモコンにはクイックセレクトキーも装備する。

実機の音

 音を確かめることもできた。SC-N10との組み合わせでは中域を中心にまとまり感のあるサウンドを楽しむことができた。小型スピーカーならではの定位感の良さなども感じることができた。RCD-N10との比較では、中域の厚みや密度感が上がり、存在感や実在感が増す印象がある。また、音の立ち上がりについても明瞭感が増す。

 SC-N10はペア1万円台と手ごろなスピーカーだが、B&W 707 S3(18万円台前半)と組み合わせた音も聴けた。スピーカーの性能が上がることで、高域の伸びや低域の量感の向上があり、全体にクオリティアップするのが分かる。音の沈み込み(ダイナミクス)やS/N感がさらに向上するのが印象的だ。小型スピーカーは能率が低く、アンプの性能が問われる面もありそうだが、高性能なスピーカーとの組み合わせでも十分に実力を発揮できる製品であることを実感できた。

RCD-N12

カートリッジ交換できるレコードプレーヤーの音を手軽に体験してみたいという人にもいい選択肢だ。

 このあたりはAmazon Music HDなどストリーミング再生でももちろんだが、YouTubeにある音楽コンテンツなどでも実感できる部分だろう。本格的なスピーカーで聴くことで、PCやテレビではなかなか味わえない繊細な情報がYouTubeのコンテンツにも含まれていると気付けるはずだ。

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