このページの本文へ

水星のX線オーロラの源、コーラス波動を初めて検出=金沢大など

2023年09月21日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

金沢大学、東北大学、京都大学などの国際共同研究チームは、電子を効率よく加速、散乱させる電磁波(コーラス波動)が水星の朝側(水星から約1200キロメートル内)で発生していることを、世界で初めて観測した。水星のX線オーロラ(X線の放射)はこれまで発生メカニズムが十分に分かっていなかったが、今回の成果により、このコーラス波動で散乱された電子が水星表面に衝突して発生していることが示されたとしている。

金沢大学、東北大学、京都大学などの国際共同研究チームは、電子を効率よく加速、散乱させる電磁波(コーラス波動)が水星の朝側(水星から約1200キロメートル内)で発生していることを、世界で初めて観測した。水星のX線オーロラ(X線の放射)はこれまで発生メカニズムが十分に分かっていなかったが、今回の成果により、このコーラス波動で散乱された電子が水星表面に衝突して発生していることが示されたとしている。 研究チームは今回、水星磁気圏探査機「みお」に搭載した電磁波観測器「PWI」を用いて、史上初の水星での電磁波観測を実施。交流磁界データから、水星の朝側の限られた領域で強いコーラス波動を検出した。同チームは、水星の朝側の磁力線は太陽風の影響が小さく、曲率が小さいため、磁力線に沿って電子から電磁波にエネルギーが効率よく授受され、コーラス波動が発生しやすくなると考察。水星環境を模擬した数値シミュレーションにおいて、そのことを確認した。 地球では、コーラス波動が夜側から昼側の広い範囲で観測され、このコーラス波動により、低いエネルギーの電子が放射線になるまで効率よく加速することが知られている。一方、水星の磁場は地球と比べて約1%と極めて弱く、地球のようなコーラス波動が発生するかどうかわかっていなかった。研究論文は、科学誌ネイチャー・アストロノミー(Nature Astronomy)に、2023年9月14日付けで掲載された

(中條)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ