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ヒトゲノムの暗黒領域を解読、疾患関連の候補領域を観察=東大

2023年09月20日 08時21分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学の研究チームは、ヒトゲノムの中で解読が困難な領域(「暗黒領域」と呼ばれる)である、縦列反復配列の組成を明らかにすることに成功した。縦列反復配列とは、リピート単位が隣り合って縦列式に重複している繰り返し配列であり、個人差が大きく、約60カ所の領域は疾患との関連性が報告されている。

東京大学の研究チームは、ヒトゲノムの中で解読が困難な領域(「暗黒領域」と呼ばれる)である、縦列反復配列の組成を明らかにすることに成功した。縦列反復配列とは、リピート単位が隣り合って縦列式に重複している繰り返し配列であり、個人差が大きく、約60カ所の領域は疾患との関連性が報告されている。 研究チームは今回、日本人健常者270人の集団データを解析し、暗黒領域の約200万カ所の縦列反復配列について、その組成を分析した。その結果、分析したうち約32万2000カ所の領域の個人差は大きく、周辺の領域に比べると、多様性が大きいことが判明。繰り返し単位が1種類の単一型よりは、複数の単位が混在する複合型が多く存在し、複合型は単一型に比べ塩基の変化が大きく、長さは短い傾向にあることがわかった。さらに、約8900個の領域では、疾患に関連する領域の候補と考えられる、伸長が顕著な個人ゲノムが観察された。 研究チームによると、このように多様性の大きな領域は、疾患に関連する可能性があり、今後の疾患研究の基礎的情報として重要になるという。研究論文は、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に2023年9月14日付けで掲載された

(中條)

   

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