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無機機能性材料の組成を制御する新手法、東北大など開発

2023年09月14日 06時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学、九州大学、東京都立大学の共同研究チームは、無機機能性材料(様々な機能を持つ無機物の材料)の開発において、アニオン(陰イオン)組成を容易に幅広く制御する技術を開発した。無機機能性材料の開発ではこれまで主に、カチオン(陽イオン)組成の制御が用いられてきた。今回の成果により、従来の材料合成技術で実現できない反応条件で材料を合成できるようになり、燃料電池や蓄電池などの高効率エネルギー変換・貯蔵技術への応用や新物質探索への展開が期待される。

東北大学、九州大学、東京都立大学の共同研究チームは、無機機能性材料(様々な機能を持つ無機物の材料)の開発において、アニオン(陰イオン)組成を容易に幅広く制御する技術を開発した。無機機能性材料の開発ではこれまで主に、カチオン(陽イオン)組成の制御が用いられてきた。今回の成果により、従来の材料合成技術で実現できない反応条件で材料を合成できるようになり、燃料電池や蓄電池などの高効率エネルギー変換・貯蔵技術への応用や新物質探索への展開が期待される。 研究チームが今回開発した技術は、外部から電圧を印加することで電解質のイオンを駆動し、任意量のアニオン種を注入することで対象材料のアニオン組成を制御するというもの。流した電流の量により注入するアニオン量を制御でき、外部から電圧を印加する操作により従来技術では実現できない極限的な反応条件を実現できるという。 同チームはこの技術を用いて、高機能触媒や燃料電池電極として利用されるペロブスカイト型酸化物の酸素の一部をフッ素に置き換える実験を実施。狙った量のフッ素を酸化物粒子の内部にまで注入でき、その量を制御できることを実証した。さらに、大電圧を印加し、既存の合成方法より大きな駆動力で反応を進めることで、通常の合成条件では出現しないナノ結晶を含む準安定相を合成することにも成功した。 研究論文は、科学雑誌アドバンスト・ファンクション・マテリアルズ(Advanced Functional Materials)に2023年9月7日付けで掲載された

(中條)

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