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植物成長促進ホルモンの新たな活性化経路を発見=名大など

2023年09月06日 06時45分更新

文● MIT Technology Review Japan

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名古屋大学、理化学研究所などの共同研究チームは、植物成長促進ホルモンの一つであるサイトカイニンの新たな活性化経路を発見した。今回発見したサイトカイニン活性化酵素を利用してサイトカイニンの作用を調節することで、イネをはじめとした作物の収量向上への応用が期待される。

名古屋大学、理化学研究所などの共同研究チームは、植物成長促進ホルモンの一つであるサイトカイニンの新たな活性化経路を発見した。今回発見したサイトカイニン活性化酵素を利用してサイトカイニンの作用を調節することで、イネをはじめとした作物の収量向上への応用が期待される。 サイトカイニンは窒素栄養に応じた植物成長促進やイネの穂形成など、植物生産に関わる非常に重要な植物ホルモンであり、これまでは細胞内で生合成されると考えられてきた。研究チームは今回、イネ体内の植物ホルモン濃度に影響を与える量的遺伝子座(草丈や籾数に影響を与えるDNA領域)を見つけ出すために、「ササニシキ」と「ハバタキ」という性質の異なるイネの品種を交配して作成された系統群の幼苗を用いて主要な植物ホルモンの内生量の網羅的解析を実施した。 その結果、サイトカイニンを活性化する酵素タンパク質「CPN1」が葉の細胞壁空間(アポプラスト)に存在し、細胞内とは別の代謝経路により、根から輸送されてくる前駆体を活性型に変換していることが明らかになった。また、CPN1の機能を失ったイネ変異体では、葉でのサイトカイニン情報伝達が正常に実行されなくなり、穂のサイズも小さくなることが分かった。 研究論文は、米国科学アカデミー紀要(Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America:PNAS)オンライン版に2023年8月28日付けで掲載された

(中條)

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