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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第197回

一家に一台「デジタル顕微鏡」はいかがでしょうか

2023年07月18日 16時00分更新

文● 前田知洋 編集●ASCII

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デジタル顕微鏡

リアルに解像度を上げる

 このところ「解像度を上げる」というフレーズが流行っています。ディスプレーや画像の話だと思っていたら、どうやら「何かを詳しく知る/理解する」というメタファーだそう。

 たとえば、「マジックの解像度を上げる」なら「マジックのことを詳しく知る/理解する」という意味に。会話の中で使うと、なんだか、トレンドに敏感そうに思ってもらえるフレーズかもしれません。

 そんな話題に触発されて、デジタル顕微鏡を購入してみました。リアルに“解像度を上げる”わけです。「いろんなものを細かく見たい」って、やっぱり子供の頃からの夢だったんですよね。

Jiusion HD 2MP USBデジタル顕微鏡を購入

 今回購入したのは、「Jiusion HD 2MP USBデジタル顕微鏡」。Amazon.co.jpで4999円でした。アルミ合金製の堅牢なスタンドが付属していることが、選んだ大きな理由です。

 顕微鏡にとってスタンドの安定性は重要。わずかなブレが画面上では大きなブレにつながり、画像が安定せず使いづらいからです。さらにUSB Type-A、およびType-CでPCに接続できるのも便利なところ。

デジタル顕微鏡

PCとの接続は、USB Type-A、Type-C両方で使えるアダプターになっている

まず、身近なものを拡大してみる

 たまに広告などで、「肌年齢は○○です」という画像。よく考えると、何を根拠にしているかは不明ですが、とりあえず手の皮膚を拡大してみました。

デジタル顕微鏡

筆者の手の甲の皮膚。仕事柄、手がキレイと褒められるが、肌年齢はいくつなのだろう(笑)

 次に、キッチンの食器洗い用のスポンジを拡大してみました。白いナイロンのネット部分と内側の吸水する黄色い繊維構造があざやかに見えます。

デジタル顕微鏡

身近にあった食器洗い用スポンジの拡大画像

SNSなどで映える画像も撮影できる

 さすがに肌や頭皮の画像は生々しいですが、SNSなどにデジタル顕微鏡で撮影した画像を投稿すると、閲覧数やレスも多めになるように思います。

 たとえば、偽造防止用のホログラムステッカー。拡大して初めて実感しましたが、ホログラムは蝶の羽のようなウロコ状の構造になっていました。たしかに、角度によって虹色に光る様子は蝶の羽と似ています。

デジタル顕微鏡

ホログラムステッカーの拡大画像。よく見ると偽造防止用のマイクロ文字(数字)が見える

 偽造防止用のため、普通では見えないホログラム状のマイクロ文字(数字)もデジタル顕微鏡で見るとはっきりと確認できます。

トランプ印刷の発注で顕微鏡が役に立った

 現在、アメリカのメーカーに発注しているトランプ。今回はいままでと違い、やや複雑なデザインなので気苦労もありました。

 たとえば、トラッピングと呼ばれるインクの重なり具合を決めてデザインを入稿する手順。商業印刷では、インクの色ごとに版を変えて印刷します。

 しかし、色ごとの版が少しズレて印刷されても平気なように、色の境界線を多めに取る必要があります。これは、印刷機の精度によって幅が異なります。アメリカの工場にある印刷機のトラッピング幅を見るためには、すでに印刷されたトランプを見ればOKなはず。

 というわけで、今年印刷されたトランプを顕微鏡で観察してトラッピング幅を確認。

デジタル顕微鏡

王冠の黒と金の重なり部分、トラッピング幅は0.006インチ(0.15ミリ)

 そんなときに役に立つのが「透明フィルム定規」です。透明フィルムにマイクロメーター単位の目盛りや線などが精密印刷されていて、対象物の上に置いて測ると測定できます。

デジタル顕微鏡

微細なサイズを測るための顕微鏡用透明フィルム定規

アプリはOSに付属のPhoto Boothを使用

 デジタル顕微鏡の画像を見る・撮影する場合、筆者はmacOSに付属している自撮り用アプリ「Photo Booth」を使用しています。

 ただし、画像が左右に反転してしまうのが難点ですが、筆者の用途では問題はありません。

 もし画像を反転させたくない場合は「外部カメラ USB接続アプリ」で検索すると、さまざまなアプリがヒットします。もっとも、筆者はそれらのアプリに対するiPhoneやiPadへの接続検証をしていないので、各々で用途にあったものを選んでください。

お子さんの夏休み自由研究にも

 もしお子さんがいらっしゃるなら、夏休みの自由研究にもピッタリなはず。本体も小さく、ノートPCにも手軽に接続できますので、キャンプなど屋外での観察や撮影が楽しめます。対象物を照らすライトも内蔵しているため、夜間や暗い場所で使用もできます。

 子供だけでなく大人にとっても、さまざまなモノの「解像度を上げる」デジタル顕微鏡。価格もだいぶ安価になってきました。楽しいだけでなく、いざという時に必ず役に立つデジタル社会の常備品だと筆者は思っています。

前田知洋(まえだ ともひろ)

前田知洋

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、チャールズ英国王もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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