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カブトムシにはなぜ角がある?ゲノム解読し公開=基生研など

2023年07月13日 06時52分更新

文● MIT Technology Review Japan

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基礎生物学研究所(基生研)や金沢大学、モンタナ大学などの国際共同研究チームは、カブトムシの核ゲノムとミトコンドリアゲノムを解読し、データベースとして公開。角形成の遺伝的メカニズムを理解する基盤を確立した。

基礎生物学研究所(基生研)や金沢大学、モンタナ大学などの国際共同研究チームは、カブトムシの核ゲノムとミトコンドリアゲノムを解読し、データベースとして公開。角形成の遺伝的メカニズムを理解する基盤を確立した。 研究チームは今回、次世代シーケンシング技術を用いてカブトムシのゲノム解読を実施。全長6.15億塩基対(ヒトゲノムの約5分の1)と、タンパク質をコードしている遺伝子2万3987個を見い出した(ヒトは約2.2万個)。それらの結果から、カブトムシの性分化遺伝子である「doublesex(ダブルセックス:dsx)は雌雄で異なる転写産物を複数生成するが、その中で角形成に寄与するdsxの転写産物は雌雄間で529塩基対の違いを有しており、このわずかな構造の違いが角の有無を決定する一因であることなどが明らかとなった。 オスのカブトムシの特徴である角は進化過程で新たに獲得した形質(進化的新奇形質)であり、その獲得メカニズムの解明は、生物の多様性創出の理解につながるとして学術的な観点から重要とされている。だが、カブトムシの角がどのように獲得されたのかは、いまだ明らかになっておらず、詳細なゲノム情報は、角獲得の解明に対する鍵となると期待されている。 研究論文は科学学術誌サイエンティフィック・レポーツ(Scientific Reports)に2023年5月30日付けで掲載された

(中條)

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