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荻窪圭の“這いつくばって猫に近づけ” 第817回

ニコン「Z 8」はAFが速くてプリ連写もできる、猫撮りの最高峰カメラかもしれない

2023年05月24日 12時00分更新

文● 荻窪 圭/猫写真家 編集●ASCII

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猫が舌で鼻の頭を舐める瞬間を狙ってみた。決定的瞬間を逃さないのだ。2023年5月 ニコン Z 8

 前回(「発表したてのフルサイズミラーレス一眼、ニコン「Z 8」で早速猫を撮りに行ってみた」)に続き、ニコン「Z 8」で猫を撮る、の後編。

 なにしろ撮影機能が豊富で、ただ撮るだけならいいんだけど、使いこなそう、シチュエーション別に最適なセッティングを見つけようと思うと手間がかかるのだ。逆に言えば、それができるからハイエンド機なわけで、1週間かけて、あれこれいじってみたのだ。

猫と「Z 8」と「NIKKOR Z 24-120mm f/4 S」。ミラーレス一眼としては大きめだけど、よくこのボディでこの性能を実現した! と言いたくなる感じはある。

 Z 8を使って、最初にこれはすごいと思ったのは「速さ」。レスポンスがとにかくいい。AFも速いし、シャッターを押す→撮影するっていうリズムがいい。メカシャッターがなくて電子シャッターのみであることや、それもあってファインダー像が消失しないってのも快適さの一つだ。

 そして、「猫AF」。瞳を見つければそこに、見つからなくても動物と認識したら頭や身体に黄色い枠が出て、そこに合ってくれるのだ。

瞳に黄色い枠が表示されてる。瞳AFが仕事をしてる瞬間だ。

この日はけっこう暑かったので、猫も日陰のアスファルトにべたっと腹ばいに。2023年5月 ニコン Z 8

 さらに、モニタがバリアングルじゃなくて「チルト式」なのもいい。チルト式だと、ワンアクションでさっとモニタの角度を変えられるし、モニタが横にはみ出ないので見やすいし、光軸がずれないので近距離の撮影時に構図をぴしっと決めやすい。

Z 8はこのようにモニタがチルトするので、猫目線での撮影もさっとできるのだ。

そして撮った、お寺猫。井戸端に猫休憩スペースがあり、真夏や真冬以外はそこでくつろいでることが多いのだ。近寄って広角で狙ってみた。2023年5月 ニコン Z 8

 このモニタは、横方向へもちょっとチルトするので、縦位置ローアングル撮影をしたい人にもOKというものだ。最近、チルト式モニタのカメラが少なくなって困る、とお嘆きの人にもよし。

 4番目に挙げたいのは「連写」。普通の連写と普通じゃない連写があって、普通の連写は最高で秒20コマ。電子シャッターのみということもあってレスポンスもよく、猫があくびした、と思った瞬間に連写すると、いちばん口を大きく開いた瞬間も捉えられたという1枚だ。

大口を開けてあくびしてる瞬間の1枚。いちばん口を大きく開けた瞬間をピックアップしてみた。2023年5月 ニコン Z 8

 普通じゃない連写は、最高で秒120コマ。普通じゃないのは電子シャッターの利点を生かしたプリ連写(シャッターを全押しする寸前のカットも記録してくれる)と、超高速連写時は画質が「JPEGのノーマル画質」に限られちゃうこと。なので、日常的に使うのはちょっとつらいけど、ここぞという瞬間には欠かせない。

 冒頭写真は、この機能で撮ったもの。目の前にいたキジトラが時折ペロッと舌を出してたので、よし、ここはプリ連写の出番だ、ってことでじっと舌を出す瞬間を待ち、舌を出してからシャッターを切ったものだ。一瞬でペロッと鼻を舐めるので普通だと間に合わないのだが、プリ連写があるので、いい瞬間を記録できる。

 最後は、そのいい例を。

 兄弟っぽいそっくりなキジトラが2匹いたのである。カメラを向けると、1匹はなんか知らないヤツがやってきた、と警戒した顔でこっちを見てるのだが、もう1匹は、こっちのことなんか無視して何かに夢中である。

2匹いたキジトラ。1匹はこっちをじっと見つめて警戒してるけど、もう1匹は何かに夢中なのである。でも、肉眼だとわからない。2023年5月 ニコン Z 8

 それが何なのかは肉眼だとわからないが、いつしか獲物を狙うときのポーズで姿勢を低くして構えたので、これはプリ連写の出番だ、ってことでファインダーを覗いて、シャッターを半押しにして猫が動く瞬間をじっと待ってたのである。

 そして、猫が何物かに飛びかかったのを確認してその瞬間に連写。秒30コマで連写した中に、しっかり猫のターゲットも写っておりました。たぶん、ニホントカゲ。よく見ると、後ろ足が宙に浮いてて、素早く飛んだのがわかるではないか。

低空ダッシュでトカゲに襲いかかる瞬間の狩猟モード猫。よく見ると後ろ足が浮いてる。このあとどうなったかはご想像にお任せします。2023年5月 ニコン Z 8

 じっとしてる猫から獲物に飛びかかる猫まで撮れちゃうのである。しかも、本格的な動画も撮れるわけで、ガチの猫撮り最高峰カメラといっていいかもしれない。

 ただ、お値段もガチですけど。ボディとレンズで70万円コースです。ふところと相談して、イケそうならイッチャえ、という感じ。

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筆者紹介─荻窪 圭

 
著者近影 荻窪圭

老舗のデジタル系フリーライター兼猫カメラマン。今はカメラやスマホ関連が中心で毎月何かしらのデジカメをレビューするかたわら、趣味が高じて自転車の記事や古地図を使った街歩きのガイド、歴史散歩本の執筆も手がける。単行本は『ともかくもっとカッコイイ写真が撮りたい!』(MdN。共著)、『デジタル一眼レフカメラが上手くなる本』(翔泳社。共著)、『古地図と地形図で楽しむ東京の神社』(光文社 知恵の森文庫)、『東京「多叉路」散歩』(淡交社)、『古地図と地形図で発見! 鎌倉街道伝承を歩く』(山川出版社)など多数。Instagramのアカウントは ogikubokeiで、主にiPhoneで撮った猫写真を上げている。Twitterアカウント @ogikubokei。ブログは http://ogikubokei.blogspot.com/

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