「なぜすごいのか」はまだわかっていない
GPT-4は、何を言っても何でも返してきて、エビデンスもしっかり示してきて、日米の宗教的な違いまで語ってくれる。これは本当にすごいことです。GPT-3のときはこのあたりを聞いてもウソばかり言っていたので、とても信用にならなかったんですね(※ハルシネーション=幻覚と呼ばれる)。GPT-4ではハルシネーションが抑えられるとともに、データの量が増えて精度が上がったということではないかと思います。
ただ、入力データが多いほど出力データの品質が上がるのはなぜなのかという原理は、まだよくわかっていないとされています。2010年代に急激に強くなった将棋AIの世界でも同じことが起きていて、人間が考えつかなかったような有効な手をAIが打つようになったとき「なぜその手をAIが選択するのか」という原理がわからなかったんですね。逆に言うと、それはこれからの研究がすごく面白いところだと言えそうです。
GPT-4は現在、月20ドル(約2600円)の「ChatGPT Plus」に加入することで利用できます。アクセスが集中したため、3時間に25回しか応答ができないという制限が課せられていますが、いずれは制限なく話せるようになるでしょう。しかし、その制限のある利用の中であっても、人間の社会のあり方を大きく変える存在になることだけは、今でもはっきりと感じることができます。
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