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炭素中立移行で国内鉄鋼生産量は半分程度に、環境研が予測

2023年01月24日 10時59分更新

文● MIT Technology Review Japan

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国立環境研究所の研究チームは、2050年のカーボン・ニュートラル(炭素中立)達成時点における日本国内の鉄鋼生産量は、現在の半分程度まで減少するとの予測を発表した。2050年時点で排出可能な二酸化炭素の量から、数理モデルを使って2050年の国内鉄鋼生産量を算出した。

国立環境研究所の研究チームは、2050年のカーボン・ニュートラル(炭素中立)達成時点における日本国内の鉄鋼生産量は、現在の半分程度まで減少するとの予測を発表した。2050年時点で排出可能な二酸化炭素の量から、数理モデルを使って2050年の国内鉄鋼生産量を算出した。 分析によると、2050年までに水素還元製鉄や二酸化炭素回収貯蔵技術などの地球温暖化対策への特効薬的な生産技術が確立されたとしても、鉄鋼生産量は現在の半分程度まで下がるという。これは、特効薬的な技術を利用するために必要になる再生可能エネルギーや水素などの供給量が非常に不確実であるからだとしている。特効薬的な技術に依存した二酸化炭素排出量削減計画は、不確実で将来世代の多大な努力を必要とする技術に、鉄鋼産業の操業可能性や地球温暖化対策を委ねることになると指摘している。 研究チームは、特効薬的な技術に依存しない二酸化炭素排出量削減計画を立てることが重要だと強調している。例えば、スクラップから高級鋼材を生産するアップサイクルの技術確立や、現状よりも少ない鋼材を使ってサービス提供を可能にする新しいビジネス・モデルへの転換など、鉄鋼産業と、鉄鋼を利用する産業が協調しながら対策を立てることが必要だという。 研究成果は1月5日、ネイチャー・サステナビリティ(Nature Sustainability)誌に掲載された。

(笹田)

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