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JWSTの赤外線観測で原始星を取り巻く氷の分子を検出=理研など

2023年01月20日 06時40分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所などの国際共同研究チームは、米国航空宇宙局(NASA)の「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」を用いた赤外線観測により、分子雲中で形成途中の太陽型原始星を取り巻く微小な氷の化学的特徴を明らかにした。

理化学研究所などの国際共同研究チームは、米国航空宇宙局(NASA)の「ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)」を用いた赤外線観測により、分子雲中で形成途中の太陽型原始星を取り巻く微小な氷の化学的特徴を明らかにした。 研究チームは今回、JWSTを用いて、おおかみ座の方向、地球から約500光年の距離にある太陽型原始星「IRAS15398-3359」を、波長5~28マイクロメートル(μm、1μmは100万分の1メートル)の中間赤外線で観測し、原始星周りの塵に付着した氷の化学組成を調べた。JWSTによる従来の100倍の感度の赤外線分光観測で得られた吸収スペクトルを分析したところ、水や二酸化炭素、メタンなどの単純な分子のほかに、ホルムアルデヒドやメタノール、ギ酸などの有機分子を検出。エタノール、アセトアルデヒドといった複雑な有機分子も、氷に含まれている可能性があることが分かった。これらの有機分子は、最終的には惑星系のもととなる原始惑星系円盤に取り込まれる可能性がある。 今回の成果は、星形成から惑星系形成に至る化学進化の解明につながることが期待される。同チームは今後、実験室での測定と数値モデルを用いて検出されたスペクトルの特徴をモデル化し、氷の存在量を推定したいと考えだという。研究論文は、アストロフィジカル・ジャーナル・レターズ(Astrophysical Journal Letters)オンライン版に、2022年12月12日付けで掲載された

(中條)

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