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蒸気圧縮・吸着のハイブリッド・ヒートポンプ機構を考案=東大など

2022年11月08日 05時50分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学とスタンフォード大学の研究グループは、新しいヒートポンプ機構を考案した。エアコンなどが利用している蒸気圧縮ヒートポンプ機構に、多孔質材料がガスを吸着する現象を利用した吸着ヒートポンプ機構を組み合わせたハイブリッドヒートポンプ機構だ。

東京大学とスタンフォード大学の研究グループは、新しいヒートポンプ機構を考案した。エアコンなどが利用している蒸気圧縮ヒートポンプ機構に、多孔質材料がガスを吸着する現象を利用した吸着ヒートポンプ機構を組み合わせたハイブリッドヒートポンプ機構だ。 冷媒を圧縮、膨張させながら熱を取り出す蒸気圧縮ヒートポンプ機構は広く普及しているが、冷媒に代替フロンガスを使用する。代替フロンガスは温室効果が大きく、いずれ自然冷媒への転換が必要になる。しかし自然冷媒であるCO2を使用した場合、冷媒を超臨界状態(8〜10MPa)まで加圧する必要があり、加圧に膨大なエネルギーを費やすことになる。一方、吸着ヒートポンプは蒸気圧縮ヒートポンプに比べて機構が複雑で装置が大きくなり、導入コストが高くなる傾向がある。 今回研究グループが考案したヒートポンプ機構は、基本的な動作原理と機構は蒸気圧縮ヒートポンプと共通しており、冷媒回路に冷媒(CO2)だけでなく吸着剤として金属有機構造体(MOF:Metal Organic Framework)が循環する。冷媒のCO2を圧縮機で圧縮すると高温になるが、さらに高温のCO2がMOFに吸着すると、吸着熱を周囲に放出するため、高い暖房効果が得られる。一方、冷媒のCO2が膨張弁を通過して圧力が低下すると低温になり、低温のCO2がMOFから離れ、脱着熱を周囲から吸収するため、高い冷房効果が得られる。この機構を採用することで、低い圧力で冷暖房効率を高められるという。 研究成果は11月3日、「セル・レポーツ・フィジカル・サイエンス(Cell Reports Physical Science)」誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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