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シリコン量子ビットで量子誤り訂正機能を実現、理研が世界初

2022年08月30日 06時41分更新

文● MIT Technology Review Japan

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理化学研究所の研究チームは、シリコン量子ドット・デバイス中の電子スピンを用いた量子ビットを用いて、シリコン量子コンピューターにおける量子誤り訂正機能の実装に世界で初めて成功した。大規模量子コンピューターの実現における課題の1つである、量子誤り訂正機能の最も基本的な実装となる。

理化学研究所の研究チームは、シリコン量子ドット・デバイス中の電子スピンを用いた量子ビットを用いて、シリコン量子コンピューターにおける量子誤り訂正機能の実装に世界で初めて成功した。大規模量子コンピューターの実現における課題の1つである、量子誤り訂正機能の最も基本的な実装となる。 研究チームは、シリコン/シリコンゲルマニウム半導体基板上に微細加工を施すことで、電子を一つずつ出し入れできる「量子ドット」構造を作製。さらに、二つの補助量子ビットがどちらも「0」状態のときのみに、対象の量子ビット(データ量子ビット)の状態を反転させる「トフォリ(Toffoli)ゲート」と呼ばれる3量子ビットゲートを実現した。 続いて、このトフォリゲートを用いて、検出した誤りに基づいてデータ量子ビットの状態を訂正できる、3量子ビットの位相誤り訂正回路を実装。誤りの検出ができていることと、データ量子ビットを誤りの起こる前の状態に訂正できることを示した。 量子コンピューターを大規模化するには、不純物や熱などによる雑音の影響を受けて量子情報に発生した誤りを訂正する機能の実装が不可欠だ。最も基本的な量子誤り訂正機能の実装には、最低でも三つの量子ビットが必要だが、シリコン量子コンピューターでは、3つ以上の量子ビットの同時制御、測定などに技術的課題があり、実装が困難だった。 研究成果は、科学雑誌ネイチゃー(Nature)のオンライン版に8月24日付で掲載された

(中條)

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