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新型コロナの膜タンパク質構造を解明、新薬開発に期待=東大など

2022年08月09日 12時54分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学、京都大学、横浜市立大学の共同研究チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のウイルス形成に必須の膜タンパク質である「メンブレン タンパク質」の立体構造をクライオ電子顕微鏡単粒子解析により可視化した。

東京大学、京都大学、横浜市立大学の共同研究チームは、新型コロナウイルス(SARS-CoV-2)のウイルス形成に必須の膜タンパク質である「メンブレン タンパク質」の立体構造をクライオ電子顕微鏡単粒子解析により可視化した。 メンブレン タンパク質(以降、Mタンパク質)は、ウイルス粒子において最も豊富に存在し、ウイルス粒子形成の足場として機能する。研究チームは、哺乳類培養細胞から新型コロナウイルスの組み換えMタンパク質を高純度に精製することに成功。得られたMタンパク質試料をクライオ電子顕微鏡で解析した結果、二量体型および二量体型が会合した多量体型の構造が観察され、二量体型はロングフォームとショートフォームの2種類の異なるコンフォメーションで存在することが明らかになった。 新型コロナウイルスのMタンパク質は、スパイク タンパク質と比べて変異が比較的に起こりにくいため、Mタンパク質を標的とした治療薬は今後の変異株のコントロールに有効となる可能性がある。だが、Mタンパク質の機能や構造に関する情報は不足しており、Mタンパク質を標的としてウイルス粒子形成を直接阻害するような創薬展開は困難な状況となっている。 今回の結果から、Mタンパク質の二量体界面に薬物標的部位となりうるポケットが同定され、新型コロナウイルスのMタンパク質を標的としたウイルス粒子形成の阻害剤の開発につながる可能性がある。研究成果は2022年8月5日付けで、ネイチャー・コミュニケーションズ(Nature Communications)に掲載された

(中條)

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