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固形がんを8種に分類、免疫チェックポイント阻害薬の効果を予測=近大など

2022年08月02日 06時08分更新

文● MIT Technology Review Japan

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近畿大学、京都大学などの研究グループは、約1万症例の固形がんのDNAデータから、遺伝子変異の特徴を解析し、あらゆる固形がんを8種に分類するコンピューター・プログラムを開発。免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けた固形がん患者のデータを解析し、分類によって免疫チェックポイント阻害薬の有効性を予測できることを証明した。

近畿大学、京都大学などの研究グループは、約1万症例の固形がんのDNAデータから、遺伝子変異の特徴を解析し、あらゆる固形がんを8種に分類するコンピューター・プログラムを開発。免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けた固形がん患者のデータを解析し、分類によって免疫チェックポイント阻害薬の有効性を予測できることを証明した。 研究グループは免疫チェックポイント阻害剤の効果には、遺伝子変異の量だけでなく、遺伝子変異が生じた原因も影響を与えるのではないかとの仮説を立て、遺伝子変異のパターンに着目した。まず、米国の大型がんゲノムプロジェクト(TCGAプロジェクト)に登録された約1万症例のさまざまな種類の固形がんを対象に、臓器横断的に遺伝子変異のパターンを解析。30種類の遺伝子変異のパターンがどの程度認められるかを数値化し、階層性クラスタリングで分類した。この分類の8種のうち、喫煙(SMK)、紫外線(UVL)、APOBEC酵素(APB)、POLE変異(POL)、ミスマッチ修復異常(MRD)の5種に分類される腫瘍は、腫瘍免疫や免疫チェックポイント阻害薬の効果に関連する遺伝子発現が高いことも明らかになった。 以上の結果を踏まえ、研究グループは腫瘍を8種に分類するプログラムを開発。免疫チェックポイント阻害薬による治療を受けたさまざまな種類のがんのデータ973症例を同プログラムで解析したところ、腫瘍免疫活性が高いタイプの腫瘍は免疫チェックポイント阻害薬によって縮小しやすく、生存期間が延長する傾向にあることが分かった。 今回開発したプログラムは臨床応用が容易で、免疫チェックポイント阻害剤の有効性予測による予後の改善に活用できるという。研究成果は7月22日、「ジャーナル・オブ・イミュノセラピー・オブ・キャンサー(Journal for ImmunoTherapy of Cancer)」誌にオンライン掲載された。

(笹田)

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