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レーザー方式の粉末3Dプリンターでニッケル単結晶を造形=NIMSなど

2022年06月23日 06時14分更新

文● MIT Technology Review Japan

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物質・材料研究機構(NIMS)と大阪大学の共同研究チームは、照射面強度分布が均一でビーム半径が大きいレーザーを、ニッケル粉末に照射することにより、欠陥が少なく、結晶の方向がそろった単結晶を造形することに成功した。安価で普及率が高いレーザー方式による造形が可能になれば、単結晶により製造できる部品の範囲が大きく広がり、航空機エンジンやガスタービンの耐熱材料のほか、さまざまな単結晶材料へ応用できる。

物質・材料研究機構(NIMS)と大阪大学の共同研究チームは、照射面強度分布が均一でビーム半径が大きいレーザーを、ニッケル粉末に照射することにより、欠陥が少なく、結晶の方向がそろった単結晶を造形することに成功した。安価で普及率が高いレーザー方式による造形が可能になれば、単結晶により製造できる部品の範囲が大きく広がり、航空機エンジンやガスタービンの耐熱材料のほか、さまざまな単結晶材料へ応用できる。 研究チームは、フラットトップレーザーを用いて粉末溶融時に形成する溶融池の形状を平面状に制御することにより、従来よりもひずみ導入を抑え、結晶の方向がそろった単結晶を造形した。破壊の起点となる結晶粒界をなくした単結晶は高温強度に優れており、同手法は凝固時に導入されるひずみが小さいため、凝固割れが抑制され、種結晶不要のため製造工程の簡素化の面でも有利だという。 これまで単結晶造形が報告されている電子ビーム方式は、装置自体が高価で、高真空が必要であり、運転コストも高いため、装置の普及率が低い問題があった。一方、より安価なレーザー方式の装置では、固液界面における結晶成長方向を一方向に制御することが難しく、得られる結晶は、異なる向きの結晶で構成される多結晶体となり、結晶粒界(結晶の粒の界面)が多く存在することが問題となっていた。 本研究成果は、アディクティブ・マニュファクチャリング・レターズ(Additive Manufacturing Letters)誌に2022年6月7日付けでオンライン掲載された

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