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オリオン大星雲の星団の形成過程をスパコンで再現=東大など共同

2022年06月09日 06時12分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学、国立天文台、東北大学、神戸大学の共同研究チームは、オリオン大星雲が作り出しつつある星団の星々の運動をシミュレーションで再現し、星団(数十から数百万個の星が互いの重力で束縛されて集まっている天体)や星雲の現在の構造を理解することに成功した(同研究チームが公開したシミュレーションの動画)。

東京大学、国立天文台、東北大学、神戸大学の共同研究チームは、オリオン大星雲が作り出しつつある星団の星々の運動をシミュレーションで再現し、星団(数十から数百万個の星が互いの重力で束縛されて集まっている天体)や星雲の現在の構造を理解することに成功した(同研究チームが公開したシミュレーションの動画)。 共同研究チームは、星団内の星の重力による運動を従来の手法より高精度で解く星団形成シミュレーション・コード「ASURA+BRIDGE」を新規開発。天文学専用スーパーコンピューター「アテルイII」で実行した結果を、オリオン大星雲の星団を構成する個々の星の質量や位置や運動、星間ガスの分布の観測結果と詳細に比較し、一致していることを示した。アテルイIIは国立天文台が運用するシミュレーション天文学専用のスーパーコンピューター(Cray XC30)で、天文学専用機として世界最速の3.087ペタフロップスの理論演算性能を持つ。 地球から比較的近い距離にあるオリオン大星雲は、複数の大質量星を含む星団を持ち、その構造がよく調べられている。だが、分子雲(主に水素分子からなる低温で高密度の星間ガス)の中で星が徐々に作られていく従来の星団形成シミュレーションでは、現在のオリオン大星雲で見られるような構造を作り出す過程を検証できていなかった。 今回の研究結果は、英国の学術誌「王立天文学会月報(Monthly Notices of the Royal Astronomical Society)」のオンライン版に2022年6月8日付けで掲載された

(中條)

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