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深海底の熱水噴出孔で始原的な微生物を発見=東大

2022年06月09日 06時27分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東京大学の研究チームは、南部マリアナトラフの深海底熱水噴出孔から採取した金属硫化物チムニーの内部に、細胞が著しく小さい極小微生物(1ミリメートルの1万分の1程度)が生息することを発見した。遺伝子解析の結果は、生命進化の初期段階で誕生した微生物が、チムニー内部で優占していることを示しており、初期生命の生態を推定する上で重要な成果となる。

東京大学の研究チームは、南部マリアナトラフの深海底熱水噴出孔から採取した金属硫化物チムニーの内部に、細胞が著しく小さい極小微生物(1ミリメートルの1万分の1程度)が生息することを発見した。遺伝子解析の結果は、生命進化の初期段階で誕生した微生物が、チムニー内部で優占していることを示しており、初期生命の生態を推定する上で重要な成果となる。 深海底の熱水噴出孔は、生命誕生の有力候補場として、原始生命体の探索が盛んに実施されている。なかでも、深海底から噴出する金属と硫化水素に富む黒色の熱水が固体として沈殿して形成される金属硫化物チムニーの内部は、生命誕生から初期生命進化までを下支えした場として重要視されている。 同チームは今回、海洋研究開発機構(JAMSTEC)の無人潜水艇「ハイパードルフィン」を用いて、南部マリアナトラフの深海底熱水噴出孔から金属硫化物チムニーを採取。最先鋭の電子顕微鏡解析技術を駆使して岩石内部を観察した結果、酸化銅のナノ粒子にコーティングされた極小微生物を発見した。 細胞サイズの小さい生命はより始原的であり、岩石内部で優占する微生物は、生命進化初期に誕生したグループであることが遺伝子解析で明らかになった。 研究成果は学術誌、フロンティアズ・イン・マイクロバイオロジー(Frontiers in Microbiology)のオンライン版に6月7日付けで掲載された

(中條)

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