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ブラックホール合体が巨大ガス円盤で起こることを説明=東北大

2022年03月16日 06時36分更新

文● MIT Technology Review Japan

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東北大学とニールス・ボーア研究所(Niels Bohr Institute)の研究チームは、最近報告されたブラックホール連星の合体が、銀河中心の超巨大ブラックホール周りの巨大ガス円盤内で起こっている可能性が高いことを示した。

東北大学とニールス・ボーア研究所(Niels Bohr Institute)の研究チームは、最近報告されたブラックホール連星の合体が、銀河中心の超巨大ブラックホール周りの巨大ガス円盤内で起こっている可能性が高いことを示した。 2019年5月21日に観測された重力波イベント「GW190521」は、2つのブラックホールの合体によって発生したものと考えられている。だが、ブラックホールの軌道が合体直前に円軌道でない(高い離心軌道を持つ)ことが示唆されており、通常の環境下での合体シナリオでは説明が難しかった。 同研究チームはブラックホールの合体が起こる際の条件として、超巨大ブラックホール周りのガス円盤内のようなブラックホールの軌道が平面内にある程度揃っている状況を考えて、相対論的効果を取り入れた数値シミュレーションを実行。合体するブラックホールが3次元的に空間分布している場合よりも高い確率で、高い離心軌道を持つ合体が起こることを示した。 研究成果は、2022年3月10日にネイチャー(Nature)のオンライン速報版で公開された。ブラックホールの合体は、宇宙進化の解明の手がかりとして注目されており、合体の環境を示唆する今回の研究結果は、今後の重力波天文学の進展に大きな影響を与える可能性がある。

(中條)

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