このページの本文へ

理研、新たな抗マラリア化合物をカビから発見

2022年03月06日 05時52分更新

文● MIT Technology Review Japan

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

理化学研究所(理研)の研究チームは、化合物処理したカビから新たな抗マラリア化合物を発見した。これまで、クロロキンなど数々の抗マラリア薬が開発されてきたが、薬剤耐性菌が出現していることから、新しい薬剤の開発が待ち望まれている。今回の発見が新しい抗マラリア薬につながる可能性がある。

理化学研究所(理研)の研究チームは、化合物処理したカビから新たな抗マラリア化合物を発見した。これまで、クロロキンなど数々の抗マラリア薬が開発されてきたが、薬剤耐性菌が出現していることから、新しい薬剤の開発が待ち望まれている。今回の発見が新しい抗マラリア薬につながる可能性がある。 研究では、二次代謝を制御する化合物で処理したカビが生産する物質を解析し、二次代謝産物の生産誘導が起こるかを調べた。その結果、ルシラクタエンの生産菌であるカビの一種が二次代謝産物を生産誘導していることを発見した。さらにルシラクタエン生産菌を大量培養し、生産誘導される化合物を精製した結果、ルシラクタエンに類似の構造を持つ2種類の新しい化合物「ジヒドロNG391」と「ジヒドロルシラクタエン(DHLC)」を発見。この化合物の生物活性を調べたところ、DHLCが非常に強い抗マラリア活性を示すことが確認された。動物細胞や微生物に対する生育阻害活性は低く、マラリアに対する特異性が高いことも分かった。 DHLCはクロロキンに対する耐性を持つマラリア株に対しても強い活性を見せた。この結果から、DHLCはクロロキンとは異なるメカニズムで生育阻害を引き起こしており、新たな抗マラリア薬となる可能性があると考えられる。 研究成果は米「ジャーナル・オブ・ナチュラル・プロダクツ(Journal of Natural Products)」誌の2021年12月24日号に掲載された。

(笹田)

カテゴリートップへ

アスキー・ビジネスセレクション

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

ピックアップ