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エンドポイント管理も含むモダナイゼーション、100社/150ソリューションの目標を掲げる

日本MS、国内企業のハイブリッドワーク支援で新パートナー組織を発足

2022年02月04日 15時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 日本マイクロソフト(日本MS)は2022年2月3日、日本企業におけるハイブリッドワーク推進の支援を目的としたパートナーアライアンス「Microsoft Hybrid Workforce Alliance」の正式発足と活動開始を発表した。まずはパートナー100社との提携、150のソリューションメニューを目標に掲げ、パートナー各社のハイブリッドワーク関連ソリューション提案をサポートしていく。

 日本マイクロソフト モダンワーク&セキュリティビジネス本部 本部長の山崎善寛氏は、新アライアンス発足の背景について、「マイクロソフト製品を提供するだけでは、ハイブリッドワークにおける新たなエンドポイントの実現や運用の最適化、生産性の向上は実現できない。パートナーとともに、運用環境の刷新、オンプレミスのマイグレーションなどを通じて、新たな価値を提案していくことが必要だ」と説明した。同アライアンスを通じ、参加パートナー間の連携による企業への共同提案なども視野に入れているという。

「Microsoft Hybrid Workforce Alliance」の概要。幅広い層のパートナーとともに、顧客企業におけるハイブリッドワーク実現を支援する

日本マイクロソフト モダンワーク&セキュリティビジネス本部 本部長の山崎善寛氏

対象領域をエンドポイントソリューション全域へ拡大

 日本マイクロソフトでは、2020年2月からパートナー組織「AVD(Azure Virtual Desktop) Biz Drivers Meeting」を8社のパートナーとともにスタート、2021年7月には40社が参加する「W365/AVD Partner Alliance」へと進化させていた。今回のMicrosoft Hybrid Workforce Allianceでは、これらの活動をベースにするとともに、対象範囲を特定製品からエンドポイントソリューション全体に拡張し、参加企業の増加を図る。

これまでのAVD/W365パートナーアライアンスの活動をベースに、対象領域の拡大でパートナーも倍増以上を目指す。幹事パートナーは18社

 具体的には、日本企業のエンドポイントモダナイゼーションの促進やハイブリッドワークの支援に向けて「Windows 11/Windows 365/Azure Virtual Desktop/マルチデバイス導入ソリューションの拡充」「エンドポイントソリューションの技術資料とワークショップの提供」「エンドポイントソリューションの導入事例の公開」「マイクロソフトと加盟パートナーによる協業、マーケティング施策の推進」「Microsoft Partner Network参加パートナー向けの技術支援」などの活動を行う方針。

 新アライアンスの発足にあわせて、大塚商会やSBテクノロジー、日鉄ソリューションズ、SCSK、日商エレクトロニクス、TISなど18社が幹事パートナーとして参加。幹事パートナーは先行してマイクロソフトの技術をベースにしたエンドポイントモダナイゼーション関連のソリューションやサービスをリリースしていく。

 さらに今後は日本マイクロソフトのCloud Solution Provider(CSP)、Licensing Solution Partner(LSP)、Reseller Partner、OEM Partner各社が参加することを想定している。2023年6月までに100社の参加、150のソリューションメニュー、30件の事例創出を目指す。

 「オープンなかたちで参加を募り、各社が持つ価値の共有や、日本マイクロソフトによる情報提供、共創による提案活動などを進めていく」(山崎氏)

 目標としている150ソリューションは、Windows 11で50、Windows 365で50、Azure Virtual Desktopで50という構成を想定している。

 「ハイブリッドワークやエンドポイント管理の実現を支援するために、Windows11やWindows 365、Azure Virtual Desktopといったそれぞれのインフラに求められるアセスメントや、移行へのコンサルティングサービスも揃えていく。すでにサイト上には、パートナーソリューションとしてWindows 365で35、Azure Virtual Desktopでは48のサービスを掲載している。全150ソリューションを揃えるという目標は、近々達成できるだろう」(山崎氏)

 また、AVDではIT投資に積極的な企業やIT部門を持つ企業が主な対象だったが、クラウドベースのWindows 365はそれに当てはまらない中小企業も対象になると述べ、Windows 365を切り口に全国各地域のパートナーとの連携も強化していく姿勢をみせた。

マイクロソフトでは複数のハイブリッドワーク対応エンドポイントソリューションを提供。今回のアライアンスを通じてその関連ソリューションを拡大していく

新しい働き方に応じた「エンドポイントモダナイゼーション」が必要

 今回マイクロソフトがMicrosoft Hybrid Workforce Allianceを発足した背景には、コロナ禍においてハイブリッドワークが進展するなかで、従業員が直接利用するPCデバイスをはじめとするエンドポイントを最新環境にする必要が生じているのとともに、クラウド環境における新たな管理ソリューションが重視されてきたことがある。さらには、エンドポイントソリューションの多様化や、今後、企業に向けたWindows 11の導入が増加するのに伴って、「エンドポントモダナイゼーション」実現に向けた関心が高まることも見込まれる。

 「企業のハイブリッドワークの実現には、従来型のオンプレミスに置かれたエンドポイント管理を、クラウドサービスを利用した構成管理、自動的な制御、防御および修復機能などをサポートする最新のエンドポント管理ソシューションに置き換え、エンドポントモダナイゼーションを実現することが必要不可欠だ。ポストパンデミック時代の企業は、クラウドとエンドポイントの最新テクノロジーを活用したオフィス環境を従業員に提供していかなくてはならない」(山崎氏)

 マイクロソフトの調査によると、企業従業員の73%は今後もリモートワークを活用した柔軟な働き方を希望しており、オンラインとオフサイトを組み合わせたハイブリッドワークを推進する企業は90%に上る。その一方で、ハイブリッドワーク環境におけるエンドポイント管理の難しさも指摘されている。

 「対面でデバイスを手渡すことができない状態で、次世代のエンドポイントへ移行するにはどうするのか、モダンマネジメントを行うための環境整備や、データ保護やライフサイクル全体を考えたセキュリティ対策も考えなくてはならない。これらはハイブリッドワークによって生まれた“新たな課題”だといえる」(山崎氏)

 ハイブリッドワークに移行し、従来よりも多くの従業員がVDI環境で利用しはじめたことで、使用するコンピューティングリソースが急増してコストが増大したり、BYODで利用している端末のセキュリティ管理が煩雑になったりといった課題は、多くの企業で見られている。こうした課題に対し、マイクロソフトでは、Windows以外のデバイスを含めたエンドポイントの一元管理、Windowsをさまざまなデバイスで利用できる多様な選択肢の提供、ゼロトラストに最適化したデバイスのセキュリティ管理、リスクのあるデバイスの制御や修復ツールの提供などを行っていると、山崎氏は紹介した。

 なかでも、日本マイクロソフトが今後、パートナーとともに強く推進していくソリューションとして位置づけられているのが「Microsoft Endpoint Manager」である。

 「Microsoft Endpoint Managerは、IT管理者が自社のすべてのエンドポイントを把握し、アクションを起こすためのソリューションだ。『Microsoft Intune』や『Configuration Manager』『Windows Analytics』などを統合し、一元管理することができる。Windows PCだけでなく、あらゆるエンドポイントを管理することができる」(山崎氏)

エンドポイント管理のための統合ソリューション「Microsoft Endpoint Manager」

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