このページの本文へ

緊急性の高い相談から順番に医療相談を実施できる状況を目指して

小児科オンライン、事前問診から症状の緊急度を予測する機械学習手法に関する研究結果を発表

2020年06月18日 12時00分更新

文● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

 Kids Publicは、第34回「人工知能学会全国大会」において、スマホから小児科医に相談ができる遠隔健康医療相談サービス「小児科オンライン」の事前問診から相談の緊急度を予測する機械学習手法に関する発表をした。

 今回の取り組みは、オンライン医療相談において、緊急性の高い相談から順番に医療相談を実施可能となる状況を目指したもの。自然言語である相談文章を主とした、相談者に関する事前情報を活用して、「相談に対して小児科医が24時間以内の受診を勧めるか否か」を推定する手法の開発・実験を実施した。

 相談ケースのなかには、医療相談中のやりとりによって引き出される情報の比重が大きく、事前情報のみで最終的な助言結果を推定するのが難しいデータも数多くあった。同研究では、このように学習に使うデータと推定する対象との間に乖離が見られるデータセットにおいてもある程度頑健なモデル学習ができる手法としてPDLDRという手法を開発。

 提案手法の精度を判断するために、複数の手法を活用して二値分類に対する指標「AUC」で評価を行なった。ほかの手法が精度を伸ばせないなか、提案手法はAUC0.74という精度を記録したという。

 今回、手法の工夫によってAUCを改善することに成功。一方で、データサイズを大きくすることで精度が下がるという現象が起きた。事前問診以外の情報、実際のオンライン医療相談の会話内容などの影響が大きかったとしている。

 今後、より精度の高い予測を行なうために、事前問診をより体系化して取得し、緊急度判断におけるオンライン医療相談時の会話への依存度を低くする工夫が必要だという。同社は今回得られた知見を活かし、より質の高いオンライン医療相談を実現するための研究を続けていく。

カテゴリートップへ

ピックアップ