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デル テクノロジーズが最新の企業調査結果「グローバル データ保護インデックス」公開

データ収益化や新興技術活用進み「データ保護」への懸念強まる

2020年04月24日 08時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 デル テクノロジーズ(デルおよびEMCジャパン)は2020年4月23日、データ保護に関するグローバル調査「グローバル データ保護インデックス(GDPI)」の最新結果に関するオンライン説明会を開催した。企業データの「量」や「価値」の増大に伴う障害インシデントのビジネス影響拡大、データ保護ソリューションに対する企業側の懸念点などを具体的に明らかにしている。

デル テクノロジーズが実施した「グローバル データ保護インデックス(GDPI:Global Data Protection Index)」調査結果に基づくサマリ

すでに「データを収益化している」企業は40%、ゆえにデータ障害への懸念も増大

 グローバル データ保護インデックスは、2014年から調査を開始して今回で4回目となる企業調査。これまでは2年周期で実施されてきたが、今回は主要設問のみを調査する中間経過調査として、2018年に続いて2019年後半に調査を実施した。日本や米国をはじめとする世界15カ国の14業種、従業員250人以上の企業に属するIT意思決定権者1000人を対象にしている。

今回のグローバル データ保護インデックス調査概要

 同調査によると、回答企業が管理しているデータ量は平均で13.53PBとなり、2018年(平均9.70PB)比でおよそ40%も増加している。2016年(1.45PB)と比較すると、831%(9.3倍)もの増加となる。

 量と同時に「データの価値」も高まっている。「将来データを収益化するためのツールに投資している」「データは非常に高い価値があり、現在収益化している」と回答する企業は、それぞれ40%に達する。

データの「量」と「価値」は同時に高まっている

 その一方で、82%の企業が「過去1年間にサイバー攻撃やデータロス、予期せぬシステムのダウンタイムといった障害インシデントを経験した」と回答。そのうちデータロスやダウンタイムの原因としては「データ破損」が37%、「ソフトウェアエラー」が36%と、それぞれ増加している。これまでの調査でトップだった「ハードウェア障害」は36%で、3位に後退している。

 障害インシデントに伴う損失額についても調査が行われた。予期せぬダウンタイムによる損失額は平均で81万0018ドルとなり、2018年比で54%もの増加。またデータロスによる損失額は平均101万3075ドルで、2018年比で2%の増加という結果だった。

データロスやダウンタイムによる損失を懸念する企業は7割近い

 説明会に出席したデル テクノロジーズ(EMCジャパン)DPS事業本部 シニア・ビジネス・ディベロップメントマネージャーの西頼大樹氏は、「今後の12カ月間でデータロスやダウンタイムの発生を懸念する企業も68%に達している。現状の仕組みに不安がある企業が多い」と分析する。

80%の企業が「現在のデータ保護環境では将来ニーズに対応できない」

 現状で導入しているデータ保護環境/ソリューションに対して、企業が「信頼不足」だと考える点はどこか。この設問では、69%の企業が「ビジネスクリティカルなデータをサイバー攻撃で失ってしまったときのデータ復旧」に「自信がない」と回答した。そのほかにも、64%が「すべてのプラットフォームのシステム/データを、データロス発生時にデータ復旧できる」、62%が「各国や地域のデータ統制法規を準拠/遵守するために必要なデータ保護の実践」および「導入時に定義したバックアップや復旧サービスレベル規定の継続的な順守」について、不安を感じているという。

 「(総計すると)80%の企業が、現在のデータ保護環境では、将来予想されるすべてのニーズに対応できないと考えている」(西頼氏)

 さらに、80%の企業が複数の(2社以上の)ベンダーからデータ保護ソリューションを導入している。これは2016年調査比で20%もの増加を示す数字だ。これについて西頼氏は、「複数ベンダーのデータ保護ソリューションを利用する“ベスト・オブ・ブリード型”が主流になっている」と説明する。

 しかし、それと同時に、複数ベンダーのデータ保護ソリューションを利用する企業では、「障害インシデントの発生件数」「インシデント発生時のビジネスインパクト(平均損失額)」とも、単一ベンダー利用の企業より大きいことも明らかになっている。両者の間では、ダウンタイムによる平均喪失額は1.9倍、データロスによる平均損失額は4.8倍もの差が生じている。

データ保護環境を単一ベンダー/複数ベンダーで構築している企業には違いが見られた

 西頼氏は、データ保護ソリューションの単一ベンダー化によるメリットについて、次のように述べた。

 「ベンダーロックインを懸念する声もあるが、データ保護にまつわる日々の運用業務負荷が大幅に下がり、これによって生まれたリソースを再配分することができる。その結果、働き方改革にもつなげることができている。単一ベンダー化によるメリットがあり、複数ベンダー化は、むしろ、リスクマネジメントをする上では大きなポイントになっている」(西頼氏)

データ保護が5G/エッジ、AI、IoTなどの新興テクノロジーを阻害しかねない

 新たなテクノロジーに対しては積極的な投資をしているものの、それに適したデータ保護ソリューションを見つけられていない企業が多いこともわかっている。71%の企業が「新たなテクノロジーによって、データ保護がこれまで以上に複雑になる」と考えており、さらに61%の企業はその状況が「データ保護にとってのリスクになる」と回答している。

 新興テクノロジーそれぞれに対しても、過半数の企業が「データ保護にリスクがある」と考えている。なかでも「5Gおよびクラウドエッジ環境」のデータ保護に懸念を持つ企業は67%と多く、ほかにも「AIおよびマシンラーニングプラットフォーム」は64%、「クラウドネイティブアプリケーション」は60%、「IoTおよびエンドポイント」は59%、「RPA」は56%の企業が、それぞれデータ保護上の懸念を感じている。

 「新たなテクノロジーの活用において、データ保護がリスクポイントになっている。たとえば、現在ではKubernetesへのデータ保護ソリューションは揃ってきたが、それ以外の領域では、まだ新たなテクノロジーに対応するデータ保護ソリューションが少ない」(西頼氏)

新興テクノロジーのデータ保護に対して課題を感じる企業が多く、データ保護ソリューションのさらなる進化が求められている

 なお、回答企業におけるパブリッククラウドの選定ポイントとして、「より良いパフォーマンス」(61%)、「より堅牢なセキュリティ」(59%)に次いで、「より確実なデータ保護」(56%)が第3位となっている。西頼氏は、デル テクノロジーズのクラウドデータ保護ソリューションをパブリッククラウドに適用している企業はすでに1000社以上あり、2.7EB(エクサバイト)のクラウドデータを管理していると紹介した。

企業や組織のデータ保護プロセスを自己チェックできる資料を公開

 今回の調査結果を総括して、西頼氏は「デジタルデータの量と価値は引き続き上昇傾向にあり、それに伴って障害インシデントによるインパクトも拡大傾向にある」、「データ保護環境を構成するベンダー数が、リスクコントロールにおいて重要なポイントのひとつ」、「データ保護市場は、新たなテクノロジーやアプリケーションに対するユーザーニーズをまだ満たしておらず、最適なソリューション提供が今後の市場トレンドを左右する」とまとめた。

 デル テクノロジーズでは、今回の調査結果に加えて、企業や組織におけるデータ保護のプロセスを自己チェックするためのハンドブック「データ保護の周期表」も作成し、同社サイトで公開している。

デル テクノロジーズが公開した「データ保護の周期表(Data Protection Periodic Chart)」

 また西頼氏は、デル テクノロジーズ(Dell EMC)がデータ保護ソリューションの「Data Protection Suite」や「Data Domain」、データ管理プラットフォームの「PowerProtect SoftwareData」や「PowerProtect Appliance」、データ保護をコンバージドインフラとして提供する「Integrated Data Protection Appliance」といったデータ保護ポートフォリオを投入しており、データ保護オペレーションの自動化、サイバー脅威に対抗するデータ復旧、運用効率性を高めるセルフサービス化などを実現していると紹介した。

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