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日本のユーザーの91%はデータ/システムの復旧に自信なし

データ保護の悩みが浮き彫りに!EMCが最新調査を披露

2015年01月26日 06時00分更新

文● 大谷イビサ/TECH.ASCII.jp

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1月23日、EMCジャパンはデータ保護に関する最新調査である「EMC Global Data Protection Index」の結果を発表した。調査ではデータ保護の重要性は認識しつつも、実装レベルで成熟度を欠いているという日本の現場の動向が浮き彫りになった。

日本のデータ保護施策の成熟度は低い

 今回発表されたEMC Global Data Protection Indexの目的は、データ保護に対する課題やダウンタイム・データ損失によって被る損失コストの明示、データ保護に対する投資の適正性などを確認するというもの。独立系の第三者機関(Vanson Bourne)によって実施され、世界24カ国の従業員数250名以上の企業・公共機関のIT部門の意思決定者3300名を対象にしている。

 このうち日本を含むアジア・太平洋地域は1250名で、日本では125名が参加している。発表会では、EMCジャパン DPA事業本部の今井浩氏、システムズエンジニアリング本部 シニアマネージャー 神近孝之氏が日本の調査報告とEMCの見解について説明した。

EMCジャパン DPA事業本部 本部長 今井浩氏

 まず披露されたのは、データ保護施策の成熟度。成熟度は復旧時間の早さやバックアップインフラの信頼度、バックアップシステムの新しさ、オフサイトでのレプリケーションなどを加点要素にしたインデックスで表わし、Leaders(先進的)、Adopters(導入済み)、Evaluators(評価段階)、Laggards(遅れている)の4つのカテゴリに定義されているという。

 この指標では日本の成熟度は低く、もっとも成熟度が高いとされるLeadersにランクされている企業は3%に過ぎず、92%は4レベルのうち下位2レベル(Evaluators・Laggards)に属しているという。回答者の70%はデータ保護が必要不可欠と回答しているが、実際はデータ保護にかけられるコストはあまり高くない。IT予算304億円に対して、平均19億円で全体の6.14%に過ぎない。「他のアジア諸国と比較してもレガシーシステムに足を引っ張られ、テクノロジーリフレッシュが進んでいないと想定される」(今井氏)。

日本はデータ保護の成熟度が低い

 また、半数以上の企業が複数ベンダーを利用しているという傾向が明らかになっているという。調査では58%が平均2社のデータ保護ベンダーを利用しており、その傾向は従業員数が多くなることで、より顕著になるという。しかし、利用しているベンダーが多いほど、支出が高くなる傾向にあり、データロスを経験する割合も高くなると言う。「複数ベンダーにまたがると、管理が難しくなるのと、責任分界点がわかりにくくなる」(神近氏)からだ。

 障害原因はハードウェア障害やデータ破損、電力供給の問題がやはり多く、年間での損失コストは4.95兆円に見積もられる。ダウンタイムやデータロスにより、従業員の生産性が低下するだけではなく、製品開発の遅延、顧客からの信頼の低下、収益の損失などが発生。にも関わらず、6割の企業は継続的なバックアップをまったく実施しておらず、平均19時間のダウンタイムを経験しているとのこと。「システムが複雑化・肥大化したことで、ユーザーはデータ復旧に対する自信を失いつつある」(神近氏)とのことで、91%がシステム/データを復旧できる絶対の自信はないと回答したという。

日本のユーザーの91%はシステム/データの復旧時に絶対の自信を持っていない

クラウドバックアップの導入と関心は高い

 現状、データ保護のために実施している戦略はバックアップとレプリケーションが主流だが、高価なこともあり、アクティブ-アクティブのシステム導入は少数。一方で、最近ではクラウドへの自動バックアップやディスクベースのバックアップの伸びが高く、特にバックアップやアーカイブのクラウドサービスは利用意向も高い。ただ、クラウドの場合、データ保護の責任者がクラウド側なのか、ユーザーのIT部門側なのかが割れているのも現状だという。

データ保護の中心はバックアップとレプリケーション

 こうした結果を受けて、EMCは日本の企業はデータ保護の必要性は感じながらも、実装が追いついていないと結論づける。また、統合されていない複数のベンダーを採用しているため、リスクとコストが増加している傾向もあると指摘。これに対して、今後は統合されたデータ保護戦略が必要不可欠で、アプリケーションやデータの可視化やコントロールを保ちながら、適切なデータ保護ソリューションが必要だとした。

 EMCでは、こうしたデータ保護の課題を解決するソリューションとして、重複排除のバックアップを実現する「Avamar」や「DataDomain」、バックアップソフトウェアの「NetWorker」、レプリケーションと継続的なデータ保護を行なう「RecoveryPoint」などユーザーに応じた多彩なソリューションを展開しているという。

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