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ロードマップでわかる!当世プロセッサー事情 第546回

ハードウェア撤退を撤回するが業界トップから転落したHP 業界に多大な影響を与えた現存メーカー

2020年01月20日 12時00分更新

文● 大原雄介(http://www.yusuke-ohara.com/) 編集●北村/ASCII

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PCの出荷台数がLenovoに追い越される
最も期待外れのCEOベスト10で堂々のトップに

 下表は2010~2014年のHP全体の売上/営業利益/純利益をまとめたものである。2012年は記録的な赤字であるが、88億ドルを損金扱いしたことを考えれば、これはやむを得ないだろう。ついでに言えば、5月に発表したリストラ計画に基づく費用もここにまとめて計上されている。

2010~2014年のHP全体の業績
年度 総売上 営業利益 純利益
2010 1260億3300万ドル 11億47900万ドル 87億6100万ドル
2011 1272億4500万ドル 96億7700万ドル 70億7400万ドル
2012 1203億5700万ドル -110億5700万ドル -126億5000万ドル
2013 1122億9800万ドル 71億3100万ドル 51億1300万ドル
2014 1114億5400万ドル 71億8500万ドル 50億1300万ドル

 問題はその後、売上/利益ともに横ばいになっていることだ。これは部門別の売上(下表)からも明白である。

2010~2014年の部門別売上
年度 IPG HPS/ES PSG ESS/EG
2010 261億7600万ドル 352億7600万ドル 407億4100万ドル 202億4600万ドル
2011 261億7600万ドル 357億200万ドル 395億7400万ドル 220億6400万ドル
262億6800万ドル 314億6000万ドル
2012 244億8700万ドル 349億2200万ドル 356億5000万ドル 204億9100万ドル
259億9300万ドル 297億7900万ドル
2013 238億9600万ドル 240億6100万ドル 321億7900万ドル 281億8300万ドル
2014 229億7900万ドル 223億9800万ドル 343億300万ドル 278億1400万ドル

 IPG(Imaging and Printing Group)とPSG(Personal System Group)は特に変化はないが、2013年にHPS(HP Services)はES(Enterprise Services)に、ESS(Enterprise Storage and Server)はEG(Enterprise Group)に変更されたが、一部のビジネスはこの際に旧HPSからEGに移管されたようで、それもあって2011/2012年は移管前と移管後の両方の数字が並んでいる。ただ総じて横ばいあるいは微減、といった具合である。

 この結果として、PCの出荷台数は2013年にLenovoに追い越され(Lenovoは1264万8000台、HPは1237万7000台)、翌年はさらにその差が開いている。あるいはClient Device(単にPCだけでなくタブレットも含んだ数字)ではAppleにも追い抜かれている。

 当然株価も低迷する。下のグラフに示すように、S&P 500 Index全体、あるいはS&P Information Technology Indexの平均で言えば、2014年の株価は2009年のほぼ2倍に達しているのに対し、HPの株価は(だいぶ戻したとはいえ)まだ2009年のレベルに至っていない。

これは2014年の年次報告に示された“Stock Performance Graph and Cumulative Total Return”からの抜粋である

 これもあり、2013年9月にはDJIA(Dow Jones Industrial Average:ダウ工業株30種平均)からHPが外されている。またブルームバーグの“Bloomberg Best(and Worst)”が示す「最も期待外れのCEOベスト10」に堂々トップ入りする有様である。(続く)

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