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前田知洋の“マジックとスペックのある人生” 第105回

写真の永久保存?貴重なデータをM-DISC BDで残す

2019年12月17日 17時00分更新

文● 前田知洋

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 令和になって初めての年末、皆さまにおかれましては、いかがお過ごしでしょうか。筆者は、雑用に仕事にバタバタとしておりますが、最近ハマっているのは写真データの整理です。

仕事がら、写真はIP(知的資産)!?

 マジックという仕事なので、ビジュアルに残る写真(画像データ)は大事な記録。海外での公演やVIPに披露した写真、TVCMや番組のオフショットなど、自分のプロフィールにもかかわるので、筆者にとっては仕事上のIP(知的資産)といえるかもしれません。

 たまにインタビューや取材などを受けると「そのときの写真、ありませんかねぇ」なんてリクエストされることもあります。しかし、歴代のPCや外付けHDD(ハードディスクドライブ)にバラバラ保存されているし、数も多いので、「探せばあると思うんですが…」と冷汗を流すこともしばしです。だいたい、愛猫の写真が多すぎで、PCごとに1000枚くらいずつあります...(汗)。

写真整理に邪魔になる、ムダに多い愛猫の写真…(汗

貴重な写真データをM-DISCに保存

 データをどう保存しているかを知人の写真家にたずねてみると、「HDDなどに3~4重に保存」という人がほとんど。なかには、RAID(複数のHDDをひとつのドライブのように扱う技術)、NAS(ネットワーク接続ハードディスク)に保存している人もいるようです。

 筆者はプロの写真家とは違い、1度保存すればあまり再使用しないこともあり、PC内部、外付けHDD、M-DISCへと3重に保存することにしました。

 M-DISCとは、米国Millenniata社による新しい光学記録メディア。金属系素材を記録膜に使い、耐久性を高めたDVDやブルーレイディスク(BDは25GBと50GB、 BDXLは100GBと128GB)のことです。Millenniata社の試験によると光や熱、湿度による経年劣化に強く、数百年にわたりデータを保存できるそう。データの読み込みは一般的なドライブで可能ですが、書き込みは専用のドライブを使います。

最初から写真の整理で失敗...

 最初、17年分の歴代PC4台と外付けHDDに残っていた写真データごとに「自分の写真」「仕事資料」などのアルバムで分け、新しい外付けHDDに保存。ところが、アルバム数×PC台で最終的にアルバム数が十数冊になってしまいました。重複して取り込んだ写真や露出補正、トリミングした写真がアルバムごとに混在し、すごい整理がしにくい!

最初はPCごとにアルバムを作成。それが失敗の原因に...

 PCごとにアルバムを作るのではなく、とりあえず全ての写真を取り込んでから、最後の1台でアルバム分けしたほうが効率的でした。17年分だから写真数も膨大。とくに17年前のPCや古い外付けHDDは転送速度も遅く、苦行でしかありません。

M-DISCへの書き込みはBRD-UT16WX

 一方で快適だったのはM-DISCへの書き込みです。筆者が選んだのはドライブがBRD-UT16WX(I-O DATA社)。メーカーによると筆者が使うiMac(High Sierra、Catalina)には非対応とのこと。しかし、筆者の環境では、認識や書込み/読込みも問題ありませんでした。(ご購入の参考にする場合は自己責任で)。

 ちなみに、最新版のドライブのBRD-UT16LXではなく16WXを選んだのは内蔵ドライブがPioneer社製とのウワサがあったから。筆者はPioneer社製のMac互換機、MPC-LX100の頃からのPioneerファンなのです。(ご購入の参考にする場合は自己責任で、どうぞ)。

筆者が購入したBRD-UT16WXの内蔵ドライブはPioneer製

 今回使用したメディアは、三菱ケミカルメディアの25GB(片面1層)と100GB(片面3層)のM-DISC。実売価格は、25GBのディスクで600円/枚、100GBで1000円/枚ほどです。

 M-DISCへの同機からの書き込みは、1層でも3層でも4倍速で固定です。16GBのデータを片面1層のBD-RE 25GBに書き込んでみると約30分、検証は12倍読込みで約10分でした。スペックはほぼカタログ通りでしょう。(USB3.0接続の場合)。

BRD-UT16WXはUSB3.0で接続されると電源ランプが青色に光る。ディスクの出し入れがトレイタイプなのも好み

 昭和→平成→令和と元号が変わっていったように、記録メディアも時代とともに登場してきたことを筆者は感慨深く思っております。理論上、数百年データが保存できるというM-DISCも、そんな流れから登場したスーパールーキー。もちろん、数百年後に筆者は生きていませんし、写真を見る人もいないかもしれません。でも、なんかロマンを感じるんですよね、数百年も残るって…。

前田知洋(まえだ ともひろ)

 東京電機大学卒。卒業論文は人工知能(エキスパートシステム)。少人数の観客に対して至近距離で演じる“クロースアップ・マジシャン”の一人者。プライムタイムの特別番組をはじめ、100以上のテレビ番組やTVCMに出演。LVMH(モエ ヘネシー・ルイヴィトン)グループ企業から、ブランド・アンバサダーに任命されたほか、歴代の総理大臣をはじめ、各国大使、財界人にマジックを披露。海外での出演も多く、英国チャールズ皇太子もメンバーである The Magic Circle Londonのゴールドスターメンバー。

 著書に『知的な距離感』(かんき出版)、『人を動かす秘密のことば』(日本実業出版社)、『芸術を創る脳』(共著、東京大学出版会)、『新入社員に贈る一冊』(共著、日本経団連出版)ほかがある。

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