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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第9回

45度の坂も登れるドヤ顔すぎる「デリカD:5」はミニバンを超えたミニバンだ!

2019年04月13日 15時00分更新

文● 栗原祥光 撮影●栗原祥光

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2駆と4駆を切り替えて走れる走行性能

 他社ミニバンでは見慣れない装備といえば、センターコンソールの2駆と4駆の切り替えノブ。これが結構大型で使いやすい。燃費を稼ぎたい場合は2駆、悪路などでは4駆という使い方が一般的だろう。しかし、三菱といえば四輪駆動技術。ここは積極的に4駆で走りたいと思ってしまう。

新開発のディーゼルエンジン

 改善したのは、フロントマスクや内装にとどまらない。新開発の2.2リットルディーゼルエンジンを搭載し、尿素SCRシステムの搭載により燃費の向上と、NOxの低減にも寄与しているという。ドライブトレインは、こちらも新開発の8速AT。1速をよりローギアード化したことをはじめ、全体のつながりをよくしたという。

 安全装備も抜かりはなく、また予防安全技術「e-Assist」を新採用。衝突被害軽減ブレーキシステム(FCM)や車線逸脱警報システム(LDW)、アダプティブクルーズコントロール(ACC)を搭載。ココまで来ると、マイナーチェンジというよりフルモデルチェンジと言うに相応しい。

これは「ミニバン」というジャンルには当てはまらない!

 試乗は標準モデルとアーバンギアの両方で行なった。あらかじめ申し上げると、この2車種の足回りやエンジンなどはまったく同じ仕様。あくまでもボディーと内装が異なるだけである。

 試乗は御殿場のワインディング道路と市街地を走ったのだが、はじめに感じたのは「圧倒的なトルク」だ。38.7kgm/2000rpmの強烈なトルクは、急坂をものともせず、約2トンの車体をグイグイと引っ張り上げる。さらにラフにアクセルを踏み込めば、車体の後部がググっと沈み込み、路面がホコリっぽければホイールスピンのような挙動さえみせる。筆者は今まで各社ミニバンを試乗してきたが、こんな挙動をみせたものは記憶になく、この時点ですでに「デリカD:5をミニバンと言うのは無理がある」とさえ感じる。

 このような挙動に限らず、何をしても頼もしさを感じさせるのがデリカD:5の良さだ。車体はどっしり安定し、ステアリングフィールをはじめ五感で重量感、安心感が伝わってくる。足回りはやや硬めでしっかりしたもので、いつまでも振動が収束しない不快さは皆無だし、運転していて気持ちがいい。この感覚も他社ミニバンにはみられない傾向だ。それは剛体ともいえるボディー剛性からくるもので、このドヤ顔は見掛け倒しではないことを実感した。

 車内が静かなのもポイント。適度にロードノイズやエンジン音が聴こえるものの、唸り声をあげるような音ではなく、頼もしさを感じさせる。これは凄い車だ。

 上り坂を楽しんだら下り坂が待っている。まず感じるのはエンジンブレーキの強さだ。アクセルをラフに放すとガクンという衝撃を感じるほどで、回生の強いハイブリッド車かと思ったほど。総じてデリカD:5は、ラフなアクセルワークを良しとはしない車のようだ。

 とはいえ、長い下り坂で2トンのボディーにブレーキをかけ続ければ、当然フェードなどを起こすのは目に見えているので、このエンジンブレーキの強さは、とても頼もしいものだ。結構な速度でダウンヒルすると車体は当然ながらロールするのだが、その挙動はゆったりとしていて怖さは皆無。

 ハイスピードで攻める車ではないけれど、自信をもってコーナーに侵入できる。これもまた、スポーティーモデルを除く他のミニバンではなかなか見られない挙動だ。

【まとめ】これはミニバンというジャンルではなく
デリカD:5という乗り物だ!

 ミニバンと思ったら大間違い。これはデリカD:5という乗り物であり、これに慣れてしまったら他の車に乗った時に不安な気持ちになるかもしれない。没個性の時代において、ここまで強烈な個性を放つミニバンが登場したことをうれしく思うとともに、いい車だな、と心から感じた。

 ちなみに文頭で45度登坂のデモンストレーションについて触れたが、日本における最大斜度は大阪府~奈良県を結ぶ国道308号線、通称暗峠の37%~43%。道には登坂時にスリップしたと思われるタイヤ痕が刻まれているそうだが、デリカD:5なら余裕で登坂できることだろう。家族や仲間とどこへでも行けて、そして必ず帰れる。デリカD:5を買う目的はそこにある。

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