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米国家量子イニシアチブ法が成立、5年で12億ドル投資へ

2018年12月25日 10時49分更新

文● Martin Giles

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新たに成立した国家量子イニシアチブ法は、米国が量子技術を推進するための基本計画を与えるものだ。

トランプ大統領は、量子情報科学を推進する活動に5年間で12億ドルを投じる「量子国家イニシアチブ法」に署名した(関連記事)。米政府機関の一部閉鎖が始まるのと時を同じくして成立した新たな法律は、量子研究や将来の人材育成を大きく後押しするものだ。

量子物理学の風変わりな現象を利用する量子コンピューターは、桁外れの計算能力を生み出し、最終的には現在最先端のスーパーコンピューターをも上回ることが期待されている。量子現象は、安全性が非常に高い通信ネットワークなどの技術進歩に応用することも可能だ。

量子技術にすでに多額を投じている中国は、量子技術分野を米国に先んじる機会と捉えている。欧州連合(EU)も10億ユーロ(11億ドル)規模の量子基本計画を立ち上げた。米国は長らく量子科学に投資してきたが、研究成果を連携させる包括的な戦略が欠けていた。超党派の議員による強力な支持を得た新法は、その点を補強するものになるだろう。

同法の成立に基づき、大統領行政府に属する米国科学技術政策局(OSTP)の下に「国家量子調整室(National Quantum Coordination Office)」が設置される。同法はまた、米国が量子革命の最前線に居続けるための複数年に渡る基本計画の作成も求めている。

基本計画の重要な目標は、コンピューター科学や物理学、工学といった異なる領域の専門家を集めて実験を進めたり、将来の量子研究者を育てる研究センターを作ることにある。また、大企業やスタートアップに対し、政府機関との共同研究において知識や資源を集結させることも奨励する。

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