IBM 5160の発売で
ハイエンド向けの市場を掌握
IBM-PC/XTことIBM 5160の筐体は、初代IBM-PCとよく似ているが、拡張スロットの数が変わった時点で共通性がないのは明白で、ケースに互換性はない。このIBM-PC/XTのマザーボードが、いわゆるBaby ATと呼ばれるフォームファクターとしてその後流通することになる。
640KBのDRAMと10MB HDD、CGA+カラーモニターという構成での価格はおよそ8000ドルでだいぶ跳ね上がったが、なにしろ当時HDDそのものが高かったし、カラーモニターも高価だったことを考えると妥当な価格ではある。なお、このIBM-PC/XTの発売に合わせ、IBM-DOS(MS-DOSのIBM-PC版)も2.0に上がっている。
IBM 5160に、IBMの3270エミュレーションを実行できるようにしたのがIBM 3270 PCで、これにSystem/370用のエミュレーションカードを搭載し、System/370のプログラムを直接実行できるようにしたのがPersonal Computer XT/370となる。こちらは既存のIBMの顧客向けで、一般に流通しているわけではなかった。
エントリー向けのPC Jr.を発売
IBM 5160に続いて1983年11月に発表されたのが、PC Jr.ことIBM 4860である。IBM-PCがメインストリーム、IBM-PC/XTがハイエンド向けとすれば、バリュー/エントリー向けに低価格製品を用意するのはラインナップ的には間違っていない。
画像の出典は、Wikipedia
そこで64K RAMを搭載したIBM 4860-004を669ドルで、128KB RAMとFDDを1台搭載した4860-067を1269ドルで用意したところまでは悪くなかった。
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