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カプセルホテルが進化中!室内で「立ち上がれる」部屋も

2018年12月05日 06時00分更新

文● かもん恵(ダイヤモンド・オンライン

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ファーストキャビン
かつてのカプセルホテルのイメージを覆すファーストキャビンの個室 Photo by Megumi Kamon

かつてカプセルホテルは「終電を逃したサラリーマンが使うもの」というイメージだった。ところが、外国人旅行者の増加、女性需要の高まりなどにより、カプセルホテルは変わりつつある。そこで今回は、快適さへの追求を推し進めている進化系カプセルホテルにスポットを当てた。(トラベルジャーナリスト かもん恵)

個室内で立ち上がれる!
「一段式」進化系カプセルホテルの快適

 カプセルホテルというと、以前なら「終電を逃した会社勤めのおじさんが利用するもの」というイメージだっただろう。ところが、女性でも気軽に泊まれるように工夫を凝らした進化系カプセルホテルの人気が高まっている。

ファーストキャビン
ビジネスキャビンはほぼベッド幅だが、天井は高い。鍵付きのセーフティーボックスにはパソコンやビジネスバッグを入れることができる Photo by Megumi Kamon

 さらに、外国人旅行者の増加、LCCや格安高速バスなど廉価な移動手段の台頭に伴う宿泊の多様化、女性需要の高まりなどにより、新たな客層を獲得した進化系カプセルホテルの店舗数が着実に増加中だ。

 進化系カプセルホテルの先陣といえば、2009年、大阪に第1号店をオープンさせたファーストキャビンだろう。店名の通り、飛行機のファーストクラスとビジネスクラスをイメージした個室の“キャビン”は、そのスタイルがもはやカプセルではない。

 最も特徴的なのは、カプセルホテルの定番である上下二段式のベッドをやめ、一段式にした点だ。ビジネスキャビン(写真)の幅はほぼベッドの幅と同じ1.2mだが、天井高は2.1m。ファーストキャビンに至っては幅2.1m、高さ2.1mで、スーツケースも持ち込めるほどゆったりとした個室空間となっている。

 カプセルホテルのカプセル式簡易ベッドは日本独自のスタイルだ。横になってしまえば、意外に「狭さは気にならない」という声が聞かれたり、火事になりにくい素材を使っていたりと、工夫を凝らしている。

 とはいえ、男女問わず大柄、あるいは体が硬い人にとっては、寝起きやトイレの度に体を丸めて潜り込んだり、這い出たりするのが一苦労という面もあったはず。その不安や手間を解消させたのがこの一段式ベッドというわけだ。

ファーストキャビン
右側にビジネスキャビン、左側にファーストキャビンが並ぶ寝室フロア Photo by Megumi Kamon

 もちろん、風呂や洗面、トイレなどは共有で、各個室にカギもかからないという点では、簡易宿所営業たるカプセルホテルなのだが、上または下に人がいないというストレスのない状況は、性別や年齢を問わず好ましい環境といえるだろう。

 さらに女性やビジネスマンの「宿泊にお金をかけたくない」気持ちを汲み取ったこと、鉄道の駅から近い立地条件ということもあり、新たな需要を掘り起こすことに成功している。その成功例が進化系カプセルホテルの1つ、ファーストキャビンというわけだ。

 ファーストキャビンは現在、東京の10軒をはじめ、大阪4軒、京都3軒、愛知、石川、和歌山、福岡、長崎、北海道各1軒の計23軒を展開。最新施設は11月15日にオープンしたファーストキャビンTKP市ケ谷と11月22日にオープンしたファーストキャビン ニセコ・ぽんの湯となっている。

キューブの下にスーツケースを収納できる
ラゲージスペースを設置

マイキューブ
個室は横向きに入るスタイル。ベッド下にはスーツケースを置ける鍵付きの物入れも! Photo by Megumi Kamon

 女性専用フロアの導入や公共スペースの充実といった個性的なカプセルホテルが増える中、ベッドを全面的に一段式にしているカプセルホテルは、実はまだ多くない。そんな現状の中、「MyCUBE by MYSTAYS 浅草蔵前」もファーストキャビンと同様、一段式ベッドのスタイルを取り入れている。

 ホテルマイステイズやフレックステイインなどのブランドで全国に89のホテルを展開する、マイステイズ・ホテル・マネジメントが手がけたカプセルホテルは、2016年6月にオープンした。ここでは個室を“キューブ”と呼び、ベッドの幅は約1mだが、高さは約1.5mを確保。ベッドが2ステップ高くなっているのは、各キューブの下にスーツケースを収納できるラゲージスペースがあるからだ(写真)。

マイキューブ
同じタイプのキューブが並ぶ寝室フロア。カーペットやキューブの造りに高級感が漂う(左)/広くて明るいラウンジ。自宅にいるようにくつろげる(右) Photo by Megumi Kamon

 上下二段式ベッドのカプセルホテルでは、貴重品を入れる金庫はあっても、大型の荷物はロッカーに入れるか、個室脇の外に出しっぱなしという光景が散見される。ところが、MyCUBE by MYSTAYS 浅草蔵前では室内にすっきりと荷物を収納することができ、かつカギをかけられるので安心だ。

 もちろん、キューブの中には32インチの液晶テレビ、サイドテーブル、鏡、セーフティーボックス、電源、USBポートなどが取り付けてあり、ナイトウェアやタオル、スリッパなども用意されている。ファーストキャビン同様、ここにも女性専用フロア(7~9階)があり、男性フロアのキーで女性フロアには入れないようになっているので、セキュリティも万全だ。

 また、大浴場はないものの、各フロアにシャワーブースがあり、7階と9階にはユニットバスが用意されている。開放的で明るい2階のラウンジは、24時間利用できる憩いのスペース。夜は軽食をオーダーでき、18時からはバータイムに様変わり。充実の朝食ブッフェも好評で、朝食付きプランにしなかった人でも、プラス700円で健康的な朝食をとることができる。

チェックイン時に渡されるiPodの操作で
リクライニングするベッド

ミレニアルズ
25cmの厚みがある米国製のマットレスをあしらったワイドベッド Photo by Megumi Kamon

 寝室がカプセルではなく、かつIoTを取り入れた最新の進化系カプセルホテルといえるのが、「The Millennials Shibuya(ザ・ミレニアルズ渋谷)」だろう。

 ここでは個室を“スマートポッド”と呼んでおり、5~10階の各階に20室のスマートポッドを配置している。上下のない一段式ベッドとなっているのだが、高さ2.3mの空間に幅1.2mのワイドベッドが宙に浮いているような造りになっているのが特徴だ。驚くべきことに、このベッドはリモコン操作でゆっくりとリクライニングする仕かけ。つまりソファモードにすることで個室の手前に空間ができ、ここで着替えができるようになっている(写真)。

ミレニアルズ
4階のラウンジはアートな感覚が光るおしゃれな空間。夜はより都会的な雰囲気に変わる(左)/朝食時には無料のパンがサービスされるキッチンも備わっている(右) Photo by Megumi Kamon

「ザ・ミレニアルズ」という名称からも分かるように、ここはミレニアル世代を意識したホテルで、スマートポッド内のすべての操作は、チェックイン時に渡されるiPodで行うのがミレニアルズ流。

 例えばベッドのリクライニングやライトをiPodのアプリで設定すれば、朝の目覚ましにすることができる。実はカプセルホテルで朝の目覚まし音はちょっとした問題になることがあるので、照明とリクライニングベッドが起動し、無音で目覚めることができるというのは、まさに画期的なアイデアなのだ。

 またミレニアルズの特徴は、公共スペースを自分のスタイルで自由に使えるところにもある。ラウンジスペースではおしゃべりやくつろぎを、コワーキングスペースでは仕事や打ち合わせをすることができ、無料のコーヒーやフリービール(17:30~18:30)、朝食時には無料のパンがサービスされるキッチンも備わっている。

ミレニアルズ
壁画が描かれた5階の「アートフロア」のスマートポッド Photo by Megumi Kamon

 さらに渋谷店では、渋谷カルチャーを意識して取り入れたのが5階の「アートフロア」と呼ばれる20の客室(写真)。1室ずつ違うアーティストによって壁画が描かれており、個性的な客室が隣り合うアート空間になっている。なお、渋谷店は京都店に続く2号店で、2018年3月にオープンしたばかりだ。

 進化系カプセルホテルは、今後もさらに快適さへの追求を推し進めていくことだろう。

 今回紹介した3軒の共通点は、一段式ベッドの快適な個室空間というだけでなく、広々とした公共スペースの提供という点だ。インバウンドの増加により、こうした空間での異文化交流が生まれないとも限らない。快適な滞在と新たな交流、その両方を提供する場こそが今、話題の進化系カプセルホテルといえよう。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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