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太陽光発電の制度改正で3000億円を超える損害が予想される理由

2018年12月05日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部,大根田康介(ダイヤモンド・オンライン

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太陽を浴びるソーラーパネル
真面目な業者が泣きを見ないよう、太陽光発電の未稼働案件の見直しでは何らかの救済措置が望まれる Photo by Kosuke Oneda

「ある程度想像していたが、ここまで影響が大きいとは思わなかった……」

 11月22日、太陽光発電協会(JPEA)の増川武昭事務局長は記者会見の冒頭、肩を落としながらこう述べた。その理由は、本誌11月24日号でも触れた、太陽光発電事業における未稼働案件の買い取り価格の引き下げだ。

 国が、再生可能エネルギーによる電気の固定価格買い取り制度(FIT)を導入してから6年、経済産業省が未稼働案件のあまりの多さを問題視。そこで、電気料金から徴収する再エネ発電促進賦課金(今年度は2.4兆円)を減らす方向にかじを切ったのだ。

 これについて、JPEAがアンケート調査を実施、具体的な影響が判明した。発電事業者110社のうち、何らかの影響があると答えたのは、大規模太陽光発電所(メガソーラー)の案件を抱える大手29社。案件数113件のうち111件は稼働する予定だったが、今回の見直しで92件は未稼働になる可能性が高いという。

 電力会社への工事負担金、地権者やEPC(設計・調達・建設をする業者)などへの支払いで約1680億円、計画の頓挫によるEPCや金融機関への違約金、地権者への賠償金などが約1210億円。実に、合計3000億円弱の損害が予想されるという。

 ただし、これらの設備規模は計約310万キロワットで、経産省が減額対象とする約2300万キロワットの一部にすぎない。アンケートに未回答の事業者分を勘案すると、損害額は大幅に増える見込みだ。

問題は未稼働だけではない

 もっとも、業界が恐れているのは投資の停滞だ。ある投資会社の幹部は「出力抑制と今回の見直しで、太陽光発電はもう要らないと言われているのと同じ。経済界にとってマイナスであり、金融機関は深刻だろう」と話す。また、環境エネルギー政策研究所の飯田哲也所長は、「太陽光発電は急速にコストが下がるもの。世界で唯一、認定時に価格を決める日本の制度に欠陥がある」と指摘。関係者の納得がいくためには、「系統連系時に価格が決まる制度に改めることが必要」だという。

 実は、事業者側も今回の見直しに基本的に賛同している。だが、林地開発など行政上の手続きに時間を要し、期限を迎える来年1月下旬に間に合わないのだ。そのため、再来年3月末まで延長するなど救済措置を望んでいる。

 一方、林地開発は自然破壊になり、地域住民とのあつれきを生む。造成費が出なくなれば自然が守られると歓迎する向きもあるが、代わりに造成が不要な事業の可能性も考える必要がある。例えば、送電線の空き容量を増やす、工事負担金を減らすなどといったことだ。

 FITの見直しと同時にこれらも解決しない限り、太陽光発電市場は一気に縮小するだろう。

(「週刊ダイヤモンド」委嘱記者 大根田康介)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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