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W杯は盛り上がる日本代表 日本サッカー協会が抱えるビジネスの課題

2018年11月21日 06時00分更新

文● 末岡洋子 編集● ガチ鈴木 /ASCII編集部 写真● 曽根田元

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――その上で、今回人事部長を公募された背景をお聞かせください

須原 現在サッカーを取り巻く環境は変化しています。例えば、スポンサーになっていただいている企業がワールドカップに合わせて日本代表のスター選手の写真をパッケージに入れた製品を販売しても、以前のように売れなくなりました。

 この理由は2つあると思います。ひとつ目として、ワールドカップ前の成績が必ずしも良いとは言えず、期待が低かったという点があります。2つ目が、日本代表が世の中に浸透したということがあります。いい意味で身近な存在に、当たり前の風景になっているのです。サッカーファンでなくても、本田選手、香川選手、長谷部選手などを知っています。だからパッケージに選手の写真があっても、サプライズやプレミアム感はもうない。

 我々がやるべきことは、選手の強化、サッカー競技人口の増加と支援だけでいいのか――サッカーが普及したことは我々の先輩方が築いてくれたプラスの”お土産”で、これを土台に次の発展に進めなければならない。それゆえに、難易度が上がっているのです。

――スポンサー企業がこれまでのメリットを感じていないということでしょうか?

須原 当然のことながら、スポンサー企業はリターンやメリットを求めます。これまで提供できていた付加価値創造のやり方の方程式のようなものが、今崩れていると言えます。これまでのような単純なスポンサードだけでは成り立たない、同じことをやっても通用しないと感じていると思います。

――それを受けて、日本サッカー協会はどのような取り組みを考えているのでしょうか?

須原 今やらなければならないと思っているのは、マイクロマーケティングです。日本サッカー協会を軸にした時のエンドユーザーさんとのタッチポイントを強化します。

©JFA

 ここでいうエンドユーザーは2種類に分かれます。

 ひとつ目として、競技者、指導者、審判員など、実際に積極的にサッカーに関わっており、日本サッカー協会に登録している方々です。我々は、名前、住所、メールアドレスなどの個人IDを持っています。このグループに対しては、もう少しマーケティング目線で情報提供をしたり、付加価値を提供する。深みを増していく必要があります。

 2つ目は、もっとライトな方々です。もっとも大きいグループはサポーター、登録せずにサッカー、フットサルを楽しんでいる方です。ここについて日本サッカー協会はタッチポイントを持っていません。

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