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SPORTS X Conference2018

2020年東京の先を目指すスポーツビジネスの未来

2018年11月26日 06時00分更新

文● 竹中玲央奈(リンクスポーツ) 編集● ガチ鈴木 /ASCII編集部

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10年後の“スポーツの価値”

橋口「東京五輪が直近にありますが、その先。スポーツベンチャーの“10年後”はどのようになっているのでしょう」

尾形「私が起業したのは2012年で、まだ大学生の時でした。当時、学生がスポーツベンチャーを起業したという事例は知りませんでしたが、現在はこのような事例が5社くらいはあると思います。そういった企業が、10年後にスポーツ界で頭角を表せるようになれるのか、非常に楽しみです。そして、起業家はできるだけ早く挑戦したほうが良いです。もっとスポーツ界で起業する学生が増えていけば、スポーツベンチャーの未来は明るいのではないでしょうか。

 スポーツナビやデータスタジアムのように、もともとはスポーツベンチャーだった企業が、大企業の傘下に入っていく例は今後、増えていくと考えています」

小泉「10年後は、スポーツ自体のマーケットがかなり大きくなっているでしょう。データやベッティングなどが充実して、楽しみ方も増えているかもしれません。例えば、食事に関していえば、専用のメガネを掛けているだけで、目の前の食事のデータを分析できるようになることが予想できます。その技術がスポーツでも生かされる可能性は大いにあります。

 アメリカではスポーツベッティングが法律で解禁されましたが、日本でもスポーツを取り巻く法律も変化していくはずですし、何かのルールが変わった時には、私たちベンチャーにもチャンスが転がってきます。スポーツのデータに価値を見出す大企業も増えていくと思うので、スポーツベンチャーが統廃合される可能性も広がってくるはずです。少子化に伴ってスポーツ人口が減ることも懸念視されていますが、健康という面で考えれば、『食』の次に『運動』が重要ですし、運動する人口は増えていくと思います」

土井「とにかくスポーツの価値を上げていかなければいけません。価値というのは相対的なものなので、スポーツ以外の分野と比べて、価値があるということを証明していく必要があります。特に、私たちは『教育』にフォーカスして事業を展開しているので、スポーツの教育的価値を上げていきたいと思っています。スポーツには、数学や英語などの教科では得られない『トライ&エラー』の部分があって、失敗しても、負けても成長することができます。

 小学校から中学、中学から高校と進学するごとに、スポーツ人口は減っていきます。しかし、数学や英語に関しては、塾や予備校に通い始めたり、社会人になっても英会話を学び始めたりと、逆三角形が出来上がっています。そう考えると、スポーツは現時点で負けているといえるのではないでしょうか。10年後に、スポーツの教育的価値や社会的意義が、今以上に世の中から認められることを目指していきたいです」

橋口「スポーツは多面体なので、立ち位置によって多様な価値が見られると思います。それは間違いなくスポーツの強みだと感じられます」

小泉「橋口さんにお尋ねしたいのですが、ユーフォリアの創業から6年が経過している中で、トップチームのデータに対する温度感の変化は感じていますか?」

橋口「特にここ2年間で関心度がグッと上がってきているように思いますし、この先も上がってくるはずです。とくに法律的な面がすごく重要で、アメリカのMLBと、日本のNPBの市場規模は、10年前や20年前は同じくらいだったという話があります。それに関して、アメリカで実際に話を聞いたところ、とにかく最初は弁護士が入って、しっかりとお金が回る“仕組みの仕組み”を作っているとのことでした」

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