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ドンキがファミマの2割出資を受けてまでユニーを買収したかった理由

2018年10月23日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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ドンキホーテホールディングス(HD)は、中部の小売りの雄、ユニーを完全子会社にする。その売り手であるユニー・ファミリーマートHDが、ドンキHDに2割出資するというサプライズも併せて発表された。ユニー・ファミマHDの親会社である伊藤忠商事を含め、各社の思惑を追った。(「週刊ダイヤモンド」編集部 松本裕樹、岡田 悟)

MEGAドン・キホーテUNY
ドンキのてこ入れで劇的な回復を実現した「MEGAドン・キホーテUNY」。こうした新業態は今後さらに拡大していく。Photo:kyodonews/amanaimages

 売上高は前年同期比190%、粗利は同160%──。中部を地盤とする総合スーパー(GMS)のユニーが運営する「アピタ」「ピアゴ」に、ドン・キホーテ流の運営や商品を取り入れた実験店の、今年3~8月の実績値である。

「元のアピタやピアゴの客と、ドンキの客の両方に来ていただけた」。ドンキホーテホールディングス(HD)の大原孝治社長は、同社がユニー株をユニー・ファミリーマートHDから取得し、100%子会社化すると発表した10月11日の記者会見で、好調の要因をそう分析した。数字の面では、申し分ない改善ぶりである。

 ユニーは2016年9月、ファミリーマートと経営統合した。だが統合交渉のときから、ファミマや、ファミマの大株主だった伊藤忠商事の真の狙いは、ユニー傘下のコンビニエンスストア、サークルKサンクス(CKS)の店舗網だった。そうしてファミマの店舗数は約1万7000と、ローソンを超えて業界2位となったが、GMSの大きな成長は望めない。そこで、ドンキHDが17年にユニーの株式の40%を取得し、ユニーをてこ入れしたわけだ(下図・上参照)。

 ドンキHDにすれば、駅前など好立地に大型店舗を持つユニーは、宝の山。過去に長崎屋を買収し、店舗改革や業務の効率化により、4期目で黒字化したほか、他のスーパーの店舗を居抜きで取得し、「MEGAドン・キホーテ」として再生してきた実績がある。

 ドンキHD創業者で今なお強い影響力を持つ安田隆夫氏は、当初からユニーの子会社化をもくろんでいたが、ユニーは中部の“小売りの雄”。反発を警戒し、まずは40%の出資からスタートすることになった。

 逆に伊藤忠とファミマは、自らGMSを立て直すノウハウはない。とはいえ、冒頭に挙げたユニー実験店の急激な回復を目の当たりにして「ユニーの店舗を手放すことを、もったいないと思い始めたようだ」(ドンキHD関係者)。

 その結果、ユニー・ファミマHDがドンキHD本体に20%超を出資し、筆頭株主となることで決着した(上図・下参照)。ユニー・ファミマHDの髙柳浩二社長は11日の記者会見で、「コンビニ一本足打法でいいとは思っていない。(ドンキHDを通じて)ユニーの株を持ち続けるという頭の整理だ」と強調した。

 またドンキHDは、安田氏が来年1月に取締役に復帰し、2月には社名をパン・パシフィック・インターナショナルHDに改称することも併せて発表した。

 ユニー・ファミマHDは、ドンキHDに取締役を派遣する方針で、「安田氏の復帰は、伊藤忠やファミマへのけん制」(小売り大手関係者)とみられる。

 小売業界ではむしろ、業績好調で創業者の安田氏が存在感を放つドンキが2割の出資を受け入れることに驚きの声が上がる。

 安田氏は、代表権を手放してからもドンキの海外展開を指揮しており、社名変更には、海外で地域密着をより強化する意味合いがあると大原社長が説明していたことから、「伊藤忠とファミマの海外ネットワークを活用できるとみて、出資を受け入れたのではないか」(同)との見方がある。

ユニファミの取り分2割出資でも増加?
シナジーは未知数

 一方でユニー・ファミマHDにとっては、どのようなメリットがあるのだろうか。

 SMBC日興証券の試算によると、同社の19年2月期の純利益への貢献度は、60%出資しているユニーが80億円なのに対し、ドンキHDは出資比率が20%であっても98億円であり、伊藤忠やユニー・ファミマHDにとって、決して悪い話ではない。

 また、事業の面で髙柳社長は、ドンキHDを含め「ディスカウント、コンビニ、GMSの三つのグループを持ち、互いに有機的に結合する」と表現する。コンビニ以外に及ぶ多様な購買データの収集と活用を念頭に置いているようだ。他にも、ドンキHDとの海外での連携に言及していた。

 とはいえ、主力である国内コンビニ事業は、過剰出店と人件費の高騰に見舞われており、取り巻く環境は厳しい。すでに広げた国内店舗網を今後、維持するだけでも困難とみられる。

 主に食品を低価格で販売し、粗利の高い化粧品や医薬品で稼ぐドラッグストアの猛攻がGMSやコンビニを襲う中、ドンキは独自の手法で勝ち残ってきた。ファミマとドンキの実験店「ファミドンキ」もできたが、高コストなため、フランチャイズの加盟店に広げられるモデルではそもそもない。

 ドンキHDとのシナジーを生かして新機軸を示せるかどうか、残された時間は少ない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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