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物流危機で初減益のネスレ日本が「ウーバー式宅配」を手がける理由

2018年10月10日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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エコハブとなった人には手数料が還元される。同時に、写真のような宅配ロッカーの設置も進めるという

 業界の風雲児が難局に直面している。ネスレ日本は、今年上半期の売上高が前年同期比で1.8%減、営業利益額が同14%減になったと発表した。実額は非公表だが、高岡浩三社長が2010年に就任して以来、初の減収減益決算となる。

 コーヒーなどの家庭用商品の落ち込みなどが主因だ。しかし、ネスレを苦しめるのはそれだけではない。昨今の物流不安による物流費が、大きなコスト要因となっている。

 ネスレは、定期配送サービスの「ネスカフェアンバサダー」など、革新的なサービスで業績を成長させてきた。その結果、Eコマース(EC)の売上比率は17年で約16%となり、定期配送サービスの利用者は延べ約90万人となるなど、ビジネスモデルが大きく転換しつつある。

 しかし、以前配送を依頼していたヤマト運輸が配送料の値上げを要請するなど、ネスレの物流費は15年から17年までに約5割増加した。高岡社長も、物流の課題解決なくして注力するECでのさらなる成長は難しいと認識している。

他社を巻き込むネスレの力

 当然、手をこまねいてはいない。ネスレは、問題解決の手段として、10月から佐川急便と共同で「MACHI ECO便(マチエコ)」のサービスを立ち上げた。

 飲食店や個人などがエコハブと呼ばれるストックポイントになり、定期配送のサービス利用者は、このハブに商品を取りに行くか、ハブとなった人に配送をしてもらうシステムとなる。この「タクシー業界でいうウーバー方式」(高岡社長)によって、ネスレは配送をハブへ集約することができるため、配送費の大幅な削減が可能となる。

 さらに今後は、マチエコを担う事業会社を立ち上げ、ファンケルやルピシアといった、同様の配送モデルを持つ企業との連携によってスケールメリットを狙う。25年までに100万人のサービス利用者を目指すという。

 食品企業であるネスレが先導して物流事業を展開するのは、ひとえに危機感からだ。

 環境変化のスピードが速くなる中、他社に依存しているだけでは、永遠に課題解決にならない。だからこそ、自社が率先して仕掛けづくりをする。こうしたスピード感や、他社を巻き込む力はネスレの強みといってもいいだろう。

 5月には、LINEを活用した、消費者と健康事業を担う企業をつなぐプラットホームとなるサービスの展開を発表している。こうした、食品以外の非専門領域で他社を巻き込む大きなトレンドをつくろうとする動きが、より顕著になっている。

 上半期の業績は予定通りで、18年通期では、売上高の伸びを前年比で1%増を目指すという。さらなる成長の必要条件は、こうした新サービスを早急に軌道に乗せていくことだ。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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