全世界で1億人以上のプレイヤーに遊ばれているゲーム『League of Legends』(リーグ・オブ・レジェンド。以下、LoL)。基本プレイ無料で遊べるオンラインゲームで、5人対5人のバトルが楽しい。本作のジャンルは「マルチプレイヤーオンラインバトルアリーナ」(MOBA)と呼ばれるもので、乱暴な言い方をすれば「複数人で戦う陣取り合戦」のような感じ。
『LoL』未体験の読者に、もう少しだけ超カンタンに説明する。試合は対角線に沿って対称な四角いフィールドで行われる。左下と右上の角が両軍の陣地で、そこにあるタワーが壊されたら試合終了。試合が始まると両軍のプレイヤーが陣地から出発し、敵陣地を目指してグングン進んでいく。プレイヤーは130種類以上用意された「チャンピオン」と呼ばれるキャラクターのなかから好きな一体を選び、特性に応じた戦略で敵陣を目指すわけだ。
本作のキャラクターは、育成要素があるのがおもしろい。CPUが操作する「ミニオン」と呼ばれる兵士や、マップに点在するモンスター、相手のキャラなどを倒すと経験値や資金(ゴールド)を得られ、チャンピオンのレベルを上げたり武器や防具などの装備アイテムで強化したりできる。ヒトコトで表現すると、「RTSとRPGのいいとこ取りをしたオンラインゲーム」だ。
『LoL』が世界中で遊ばれている最大の理由は、eスポーツの競技として世界中で評価されているところ。eスポーツが盛んなことで知られる韓国はもちろん、欧米やロシア、中国、東南アジア、そしてもちろん日本にも、公式リーグが存在している。
前置きが長くなったが、そんな『LoL』の世界チャンピオンを決定する年に一度の大舞台「2018League of Legends World Championship(通称:Worlds)」が、2018年10月1日から韓国で開催される。この大会への出場権をかけた戦いが世界中で行われており、ここ日本でも9月15日に日本チャンピオン決定戦(League of Legends Japan League 2018 Summer Split Playoff FINAL)が開催された。本稿では、この会場の様子をレポートする。(前置きオワリ!)
熱気に包まれた日本ファイナル決定戦
というワケで、やってきたのは中野のeスポーツ施設「Red Bull Gaming Sphere Tokyo」。決勝戦に望むチームは「DetonatioN FocusMe(DFM)」と「Unsold Stuff Gaming(USG)」だ。終わったイベントをもったいぶっても仕方がないので結論から先に言ってしまうと、勝利したのは「DetonatioN FocusMe」だ。
試合内容はさておき、会場で感じたのはファンの強烈すぎる熱気! 館内に入って10秒後に「この部屋クーラーつけないの?」と疑いたくなるほどだ。
試合開始時刻まで時間があるので、熱気ムンムンの室内を散策してみた。場内を埋め尽くす大勢のファンのほとんどは、出場する両チームどちらかのユニフォームを着用し、さらにプラカードやうちわなど、さまざまな応援グッズを持参している。
eスポーツに触れていない読者は「たかがゲーム」と思うかもしれない。でも、この光景を見たらプロ野球やサッカーの応援団やサポーターとほとんど同じと感じるはず。しかも、女性のファンがかなり多く、場内の観客からは、いわゆる「ゲームおたく」な雰囲気は皆無で、どちらかと言えばお祭り好きな人たちに近い印象だ。
何人かのファンに話を聞いてみた。するとほとんどの人が「純粋に応援したいから集まっている」と答える。応援する理由は人それぞれで、「プレイが上手い」と答える人の他に、「人柄に惚れた」とか「ゲームに臨む姿勢が真面目でかっこいい」など、選手個人のスター性に魅力を感じるファンも多い。選手のなかには動画配信サイトで頻繁にライブ配信を行っている人もいるので、そのような配信を見た人が、彼らの性格に魅了されるのだろう。
いよいよ試合開始! 会場に緊張感が走る!!
試合開始時刻が近づくと、会場に選手団が姿を現した。すると会場いっぱいのファンが一斉に大声で声援をおくる。しかし選手の表情は場内のファンとは正反対で、緊張感に満ちている。決勝戦だけあって、真剣そのものだった。
両チーム10名の選手が対戦席に着くと、試合がスタートした。本日の日本ファイナル戦は先に3勝したチームが勝利。つい先程まで歓声が飛び交っていた会場はシーンと静まり返り、場内には会場内の一角に設けられた解説席からの実況だけが聞こえてくる。
実況を聞いて感じるのが、難しい試合展開を噛み砕いて解説しているところ。さらに試合中に大きな動きがあったときは、リプレイ映像を交えながら丁寧に解説してくれる。『LoL』がeスポーツ競技として評価されているポイントのひとつが、この初心者にもわかりやすい紹介方法だろう。もちろん、ゲームをまったく知らなければ視聴者は理解できないと思うが、少しでもプレイしていれば、解説と映像を視聴しているだけで、いまのプレイがいかに人並み外れていたかがわかる。『LoL』の大会は、選手はもちろん実況解説者も間違いなくプロフェッショナルだ。
1試合目の結果は「DetonatioN FocusMe」の勝利。筆者も自慢できるほどではないが、『LoL』をプレイしている。同じゲームなので理論上は同じプレイができるはずだが、試合を見ると口が裂けてもそんなことは言えない……。スローモーションのリプレイ映像を見た瞬間、「なんでそんなことができるの?」と、思わず笑ってしまうほどだった。読者のなかには「eスポーツ」と聞くと高尚なイメージを持つ人もいるかもしれないが、要するに「すっげー連中が出てくるゲーム大会」である。
読者のなかでeスポーツに興味がある人は、ぜひ試合の映像を見ていただきたい。できることならば、数分だけでもいいので事前に『LoL』をプレイしておくことをオススメする。「プロeスポーツ選手」と呼ばれる彼らが、いかに優れた技術を持っているか実感できるはずだ。
『LoL』日本ファイナルの動画はコチラ
1試合が終了し、休憩時間を経て2試合目がスタートした。結果は再び「DetonatioN FocusMe」の勝利。序盤からスピーディーな展開で試合を有利に進め、そのまま勝利して日本チャンピオンに王手をかけた。そして3戦目、このままストレート勝ちするかと思いきや、今度は「Unsold Stuff Gaming」が勝利。さすが日本チャンピオン決定戦、最後まで行方がわからない流れだ。
最古参強豪チーム「DetonatioN FocusMe」と勢いに乗った「Unsold Stuff Gaming」、どちらが勝ってもおかしくない決勝戦だったが、4試合目は「DetonatioN FocusMe」が安定した試合展開で勝利。結果、世界大会「Worlds」の出場権を獲得した。
涙する選手につられて泣くファンの姿
試合後、優勝した「DetonatioN FocusMe」には勝利者インタビューが行われた。その席でCeros選手は勝利を喜びつつも、涙を流してインタビューに応じていた。するとチームを応援する観客のなかでも、何人かがつられて泣いていた。心の底からチームを応援し、選手と共に優勝を喜ぶ、会場はとても温かい空気に包まれていた。
そして勝利者インタビューに続いて行われたファンミーティングでは、ファンが選手と1対1で会話ができる貴重な時間。横一列にメンバーが並ぶと、ファンがそれぞれお目当ての選手に近づき、握手や記念撮影を楽しんでいた。よけいなお世話かもしれないが、eスポーツを楽しむ際、『LoL』の試合を見ながらお気に入りの選手を見つけてみるのも、楽しみ方のひとつかもしれない。筆者も握手を交わしたい気になる選手がいたのだが、本日は取材なのでグッとこらえて我慢した。
いよいよWorlds開幕! 「DetonatioN FocusMe」を応援しよう!!
冒頭で述べたとおり、『LoL』の2018年チャンピオンを決定する年に一度の世界大会「Worlds」が10月1日から韓国で開幕する。日本代表に選ばれた「DetonatioN FocusMe」の第一試合は10月2日だ。もちろん、試合の模様はネット配信されるので、ゲームファンもこれまでeスポーツに縁がなかった人も応援してほしい。
■Worlds 2018で日本代表チームを応援しよう!
Worlds 2018の情報は、公式サイトhttps://jp.lolesports.comや、公式Twitterでhttps://twitter.com/Official_LJLでチェック!
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