複数の役柄をこなすケースファン
コミケや帰省、家族サービスと夏の恒例行事がひと段落した8月後半は、ゆったり、まったりと新たに組んだPCや既存PCの強化に勤しみたいところ。
自作PCの強化をキーワードにした際の鉄板アイテムのひとつとなるのが、ケースファンだ。増設、交換することで、PCケースのエアフローやCPUクーラー(ラジエーター)の冷却効率を向上させたり、静音性をアップさせたりできる。
最近はPCを彩るLEDイルミネーションの鉄板アイテムとしても、すっかり定着。LEDファンを含めると、その選択肢は非常に豊富で、サイズやLED発光色違いを含め、100種類近くを在庫しているショップもあるほどだ。
今回はエアフローや冷却を強化しながら、PC内部を鮮やかに彩れることも可能になっているケースファンの基礎知識とともに、アキバの主要PCパーツショップスタッフに聞いたイチオシのファンを紹介しよう。
ファンを選ぶ際に覚えておきたい基礎知識
ファン選びで見るべき箇所は、サイズ(大きさと厚み)、回転数(rpm)、風量(CFMまたはm3/h)、静圧(mm H2O)、騒音値(dBA)、回転数の制御方式の6つと言える。LEDファンの場合はLEDカラー、LEDの制御方式、光りかたの3つが追加される形だ。
基本中の基本となるのがサイズで、大きさは主流の120mm角(径)と140mm角(径)のほか、90mm角(径)や80mm角(径)などがある。ちなみに水冷パーツのラジエーターの場合、搭載できるファンの数量でサイズを表しており、360mmラジエーターは120mmを3基できるということになる。
続いては厚さ。40mm角(径)などの小型ファンでは10~15mmが採用されているが、主流は25mm厚になる。また、風量アップのために、極厚の38mmを採用している製品もある。基本、25mm厚で問題ないが、内部スペースが限られる小型ケースでは15mmなどの薄型タイプが採用されていることもある。
重要な4つのスペック
続いてはファンの性能を表す4つのスペックで、回転数(rpm)、風量(CFMまたはm3/h)、騒音値(dBA)は、読んで字のごとしだ。風量の単位はCFMが主流だが、m3/h(1時間に送れる風の体積)で表記されている製品もある。1CFM=1.699m3/hになるので、換算式は“CFM=m3/h÷1.699”、“m3/h=CFM×1.699”となる。
“静圧重視モデル”と呼ばれる製品も増えているので、聞いたことは多いだろうが、字からは何を表すのか、いまひとつわからない静圧(mm H2O)は、ファンが抵抗を押しのけて風を送り出す力になる。CPUクーラーや水冷ラジエーターと組み合わせる際に重要になるスペックで、静圧が低いと放熱の要となるヒートシンクフィンの風の抜けが悪くなり、冷却効率が落ちてしまうこともある。
ファン回転の制御方式をチェック
スペック以外の確認ポイントは、ファン回転数とLEDの制御方式になる。基本となるファン回転の制御方式には、マザーボード上に備わっている温度センサーなどが検出した温度に応じて回転数を変化させる「PWM」制御と、一定の回転数で回転させる「DC」制御がある。
ファンの電源コネクターがPWM制御は4ピン、DC制御は3ピンになり、それぞれ4ピン制御や3ピン制御と呼ばれることもある。
基本、マザーボード側のファン用電源コネクターは4ピン採用になっているが、DC制御にも対応しており、いずれの制御方式でもマザーボードのUEFIやファン制御ソフトウェアで回転数をカスタマイズできるようになっている。
ただ、DC制御は供給電圧を定格より下げることで回転数を制御するため、回転に必要な最低限の電圧を下回るとファンが停止してしまう。そのため、ファン回転数の下限は高めで、制御幅はかなり小さくなる。
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