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ゲーマーを長年のノウハウで助けたい、ルフス代表の長縄氏

eSportsに足りないのは「プレイヤーの技」でも「高額な賞金」でもなかった

2018年05月25日 13時00分更新

文● 清水(MOVIEW) 編集●ASCII

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―― さて、ここ数年注目度が増してきたeSportsですが、日本の状況についてどのような印象を持っていますか?

長縄 僕が初めてeSportsという言葉を聞いてからすでに17年の歳月が経っていますが、日本においてはその黎明期が長すぎた。日本におけるeSportsは、今年が本当に元年ではないかと感じています。これまでも様々なゲーム大会が開催されてきましたが、メディアの食いつきもよくありませんでしたし、賞金が出るものも、多くはパブリッシャーが自主的に開催するプロモーション目的の大会でした。

―― それはなぜでしょう?

長縄 eSportsという言葉自体に嫌悪感を持つ人が多かったためでしょう。実際僕も「eSportsという言葉」よりも「ゲーム大会そのもの」を普及させることが大事だとずっと考えてきました。

 サドンアタックに出会って以来、様々な大会を運営してきましたが、eSportsという言葉はあえて打ち出してきませんでした。「eSportsで飯が食えるのか」「eSportsで何ができるのか」という批判的な意見のほうが多く、マイナスの印象を与える可能性が高かったからです。だから一歩引いて、もっとゲーム大会自体を多く開いて、eSportsに携わる人間を増やし、いろんな人の意見がもっと前に出るような状況を作りたいと思いました。

 でもここに来て、社会がeSportsを認めざるを得ない状況が生まれてきました。それが今から2年ほど前です。eSportsという言葉がゲーム大会と直結するようにもなり、わかりやすくなってきましたし、いろいろなメディアで露出されることでeSportsという言葉の認知度が高まってきました。今は僕もeSportsという言葉を積極的に使っています。

―― 今のeSportsに足りないと思うものはなんでしょう?

長縄 分母ですね。特に観戦する人の数が少なすぎます。スポーツの試合、例えばプロ野球では数万人入るスタジアムに人が集まり、30人ほどの選手のプレーを観戦するわけです。そう考えれば、5人対5人のeSportsの試合を1万人、2万人といった人が見てくれないといけない。そうでなければ、スポーツとしての興行的なビジネスが成り立ちません。

 もうひとつ大事なのは、実況や解説をする人の存在ですね。スポーツでは目だけでなく、耳から入ってくる情報も大切です。例えば競馬の実況は、目をつぶっていてもわかるくらい細かい情報をリアルタイムで伝えてくれます。「説明をできる技量を持っている人が実況する」「目の前の出来事をわかりやすく説明する」人がインフルエンサーとなって、対戦の楽しさを伝えることが重要だと思います。

 「伝える作業」をする人がほんとに足りないのです。

 成を興してから数年経って、このことに気づき、ネットでおもしろそうな人、わかりやすそうな解説をしている人に声をかけて、入社してもらうことにしました。自分たちの手で、実況者やインフルエンサーを何人か育てることにしました。

―― 確かにゲーム画面を見ているだけでは、プレーの難しさやテクニックや戦術面での深さなどがわからないことがあります

長縄 ゲームをプレーするのとは異なるスキルが求められる仕事なのです。初心者にもわかりやすく伝えられ、中級者には技術的な部分を伝えて盛り上げられる、そういう伝える力が必要です。eSportsはエンターテインメントなので、表現力やショーとしての演出の要素がいります。

── 単にゲームがうまい人が集まって競い合うだけでは、エンターテインメントにはならないということですね。聞けば当たり前ですが、目のうろこが落ちる気がしました。ここまでeSportsに関わってきて、よかったなと思ったことはありますか?

長縄 BIGLANを開催したとき、「あまり外出しなかった子どもを外に出してくれてありがとう」と、その子の親御さんからケーキをいただいたことがあります。その子がやっていたゲームはローカライズされておらず、独学で英語と中国語を学び遊んでいて、その後、中卒なのに海外のゲーム会社に就職までしました。結果的に、ゲームが彼の人生を切り開いてくれたわけですね。この話を聞いたとき、そこに携われてよかったな、少しでも役に立ててよかったなと思いましたね。

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