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都会の副業希望者×地方企業のマッチングが人気な理由

2018年04月26日 06時00分更新

文● 吉田 由紀子(ダイヤモンド・オンライン

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都市部の人材の有望副業先は
地方企業にあった!

都市部の人材が地方企業で副業をする
人材採用に苦戦している地方企業やベンチャー向けに、副業を希望する人を紹介する。リモートワークが可能な現代だからこその、新しい働き方だ

 このところ副業を解禁する企業が増加している。日産自動車、花王、リクルート、LINEといった大企業だけでなく、中小企業でも副業OKを打ち出すところが少なくない。そんな現状を背景に、副業を希望する人を対象としたWEBサービスが次々と立ち上がっている。

 昨年11月にスタートした「Skill Shift」(スキルシフト)は、地方の中小企業と都市部で働くビジネスパーソンをつなぐサービスだ。いま、地方の企業は専門的なスキルを持つ人材を求めているが、なかなか人が集まらない状況になっている。そういった人材は、どうしても都市部に集中してしまうため、地方では人材採用に苦戦しているのが現状だ。

「日本の人口は2008年がピークでした。わずか10年で人材採用は劇的に困難となり、もはや人材戦国時代と言っていいでしょう。人材の囲い込みが始まっている状態です」と話すのは、Skill Shiftを立ち上げた株式会社グルーヴス経営企画部の鈴木秀逸さん。

「地方では、ハローワークや求人誌で募集しても応募がほとんどありません。高度なスキルを持つ人は、高い年収でないと集まらない。金額がボトルネックなんです。とはいえ、中小企業側も採用できたとしても、月曜から金曜までフルでするほどの仕事量はないんです」(鈴木さん、以下同)

 そこで考え出されたのが、都市部で働くスペシャリストが、採用に苦労する地方の中小企業で、副業というスタイルで働く方法だった。副業なら、生活基盤を都市部に置いたまま、地方の仕事もできる。いわば「スキルのシェアリング」である。

リモートワークが基本
多彩な職種が求められている

 神戸市の広報会社で働く花山綱さん(28歳)は、PRのプロとして、WEBサイトやSNS、ブログの更新など、様々な企業の広報活動を行っている。勤務先は副業OKなので、この2月にSkill Shiftに登録をした。現在は副業として岩手県の温泉旅館の広報を担当している。3月には現地を訪れ、従業員に向けて広報活動の基本をレクチャーしたばかりだ。

「旅館の広報を選んだのは、具体的なイメージがつかみやすいからです。自分のスキルを活かせますし、岩手県には行ったことがないので、訪問するのも楽しみでした。最終的には旅館のスタッフだけで広報活動ができるようになるのが目標ですので、私はそれをお手伝いする役割だと思っています」(花山さん)

 現在は、2ヵ月に1度、現地を訪れてミーティングを行う以外は、すべてリモートワークで作業を行っている。

 他にも多彩な求人案件が登録されている。北海道の民宿では、広報担当者の募集。イベントの企画を立て、情報発信をしてくれる人材を募集中だ。副業の方法は相談に応じるとのこと。営業戦略、飲食関連のバイヤー経験者を求めているのは、鳥取県境港市の水産加工会社。こちらもリモートワークが中心だが、「たまには現地に遊びにきてください」とフレンドリーな社風である。

 群馬県のオーダー家具メーカーでは、販売促進担当を募集中。月1回の面談と電話、メールでサポートしてくれる営業経験者を募っている。岩手県の社会福祉法人は、人事採用を強化するための戦略設計ができる人を募集中。完全リモートでOKとのことだ。

 こういった地方の企業は、これまでハローワークではほとんど応募がなかったが、Skill Shiftに登録すると、何人も応募があったという。

副業の動機は収入よりも
スキルアップなどが多い

 一方、去年の7月にスタートした「シューマツワーカー」は、副業に特化した求人サイト。平日夜や週末など、空いている時間を活用して副業をしたい人を対象にしたサービスだ。職種やキャリアによっては、月額10万円以上の案件もある。

「求人を出しているのは、ベンチャー企業が多いです。ベンチャーの発足時は人手が足りないケースも多いのですが、かと言ってフルタイムで人材を雇用するほどの余裕はない。そんな企業に対して、副業として業務を手伝っているワーカーが多いです」(株式会社シューマツワーカー代表取締役 松村幸弥さん)

 プログラマーやSE、プロダクトマネージャー、WEBデザイナー、マーケターなど、現在はIT系の職種が多いが、今後は営業職などへも幅を広げていく予定である。いずれもリモートワークがメインだが、地方の中小企業への応援も行いたいと考えている。

 副業というと、副収入のために始める人が多いと考えがちだが、取材してみると、自分のスキルアップのために、また、ベンチャー企業で面白い仕事をしてみたい、困っている企業を応援したい、という動機が多かった。

 働き方改革で、2つの仕事、3つの仕事を同時に行う時代を迎えつつある今、技術や経験をシェアすることが経済を回すことにつながるのではないだろうか。副業OKの企業に勤務している方は、ぜひトライしてみてほしい。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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