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働き方改革の切り札は猫!殺伐職場を変える「ねこ社員」の実力

2018年04月16日 06時00分更新

文● 真島加代(ダイヤモンド・オンライン

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さまざまな企業が“働き方改革”を推し進めているなか、猫好きにとって夢のような提案が話題を呼んでいる。その名も「ねこ社員登用のすすめ」。改革の概要は、職場で猫を飼うだけというものだが、果たしてどのようなメリットがあるのだろうか?(清談社 真島加代)

職場で“猫の手”を借りるべし!
「ねこ社員」導入のメリットとは

「どうせペットでしょ」と侮るなかれ。“ねこ社員”は、莫大なコストをかけたストレスマネジメントの施策に負けるとも劣らない結果をしっかりと出すのだ

 仕事がどうにも忙しいとき、ふと「猫の手も借りたい…」とつぶやいた経験はないだろうか。実際は“誰でもいいから手を貸してほしい”という意味だが、本当に猫の手を借りる日がくるかもしれない。

 先日発売された『仕事で悩んだらねこと働きなさい』(自由国民社)には、ねこを職場で飼うことで得られる、さまざまなメリットが綴られている。

「ねこ社員は職場にいるだけで、あらゆる面で働き方改革を起こしてくれる存在なんです」

 そう話すのは、同書の著者・樺木宏氏。出版コンサルタントとして働く樺木氏もまた、自宅で8匹の保護猫とともに暮らし、ともに働いている1人だ。

「ねこ社員が与えてくれる1つ目のメリットは“ストレスマネジメント”。猫と関わっているとき、人間の脳では脳内ホルモンのオキシトシンが分泌されます。オキシトシンは別名『愛情ホルモン』と呼ばれる物質。この愛情ホルモンこそが、ビジネスパーソンにとって必要不可欠な存在なんです」

 この愛情ホルモン・オキシトシンには、「ストレスホルモン」と呼ばれるコルチゾールを直接抑制し、ストレスを解消する働きが期待できるそう。

猫アレルギーの人がいれば、空気清浄機の台数を増やすなどの工夫をするだけで、飼育可能なケースもある

「さらに、オキシトシンは怒りや欲望のホルモンを抑えて、心の安定をもたらします。そのほか、消化機能や自律神経にも作用し、疲労回復を促進したり、学習効果を高めたりするなどの好影響があるとされているホルモンなのです」

 心身のストレスを解放するオキシトシン。多くの日本の企業が頭を抱えている“ストレスマネジメント”に、一役買ってくれる存在なのだ。しかし、このオキシトシンと猫は、どのように関係しているのか。

「実は、猫を見て『かわいい』と思うだけで、オキシトシンは分泌されます。より効果を高めたい場合は、猫をなでてください。ふわふわの猫の毛をなでることで、脳がさらに刺激されてオキシトシンの分泌を促すとされています」

 たしかに、会社に猫がいれば、見ることもなでることもできて一挙両得。オキシトシンの恩恵を受けることができそうだ。

ねこ社員導入はローコスト
しかし得られる効果は高い!

 ねこ社員の登用によって得られるメリットはそれだけではない。なんでも、社内のコミュニケーション不足の解消にも役立ってくれるという。

『仕事で悩んだらねこと働きなさい』(自由国民社)

「“ねこ社員”は社員全員にとって共通の話題になるんです。加えて、先のオキシトシンは「絆」の形成を促進することも分かっています。実際に会社で猫を飼っている企業に取材をすると、猫を介した社員同士のコミュニケーションが活性化した、という声が多く挙がりました。同じ会社で働いていても、それぞれが共通の話題を持つのはなかなか難しいですが、猫がいれば『こんなにかわいい写真が撮れた』『このおもちゃが好きみたい』など、自然と会話が増えていくようです」

 昔に比べ、お互いのプライベートに踏み込む会話を避けるようになった現代では、社員同士のコミュニケーション不足が深刻化している。ねこ社員の存在は、こうした企業の問題も解決に導いてしまうのだ。

「猫を会社で飼うことの最大のメリットは、導入のハードルが非常に低いにもかかわらず、しっかり効果が期待できる点です。ストレスマネジメントやコミュニケーションの改善など、それぞれの施策を個別で行うとなれば、莫大な費用がかかります。一方、猫を飼うのはとても簡単。毎日ごはんをあげて、トイレの掃除をしてあげれば、あとは自由気ままに過ごしてくれる動物なので、特別なことをする必要がありません」

 猫は高い場所が好きなので、ロッカーなどで段差を作ってあげるだけでも、彼らは自由にオフィスを活用してくれる。特別な設備投資が必要ないのもねこ社員の魅力だ。もちろん犬社員でも問題ないが、日々の散歩やトイレのしつけのことを考えると、ハードルが上がってしまう。その点でも、ねこ社員がおすすめなのだとか。

「もちろん、なかには反対意見もあるとは思います。ただ、ねこ社員のメリットは、猫がキライな人や猫アレルギーの人でも享受することができます。アレルギーの場合は、空気清浄機の台数を増やすなどの工夫をするだけで、飼育が可能なケースも。実際に会社で猫を飼いたい場合は、みなさんが納得のいくカタチで実行してくださいね」

あのGoogleは自称「ドッグカンパニー」
欧米ではペット同伴出勤が当たり前に

 猫と働くことで、さまざまな問題が解決することは理解できても、やはり発想が突飛すぎるのでは、と感じている読者もいるかもしれない。しかし、視点を欧米に転じればまったく突飛ではない、と樺木氏は語る。

野良猫問題を抱える地域が多く、年間4万6000匹もの猫が殺処分されている日本。企業の2.5%がねこ社員を導入すれば、殺処分はゼロになるほどのインパクトがある

「アメリカでは全企業の約17%で動物と働くことが認められ、ペット同伴の出勤が可能なケースもあります。こうした企業は近年急増しており、世界トップ企業のGoogleやAmazonも名を連ねています。世界的に見ても、動物と働くことはなんら珍しいことではなくなってきているのです」

 Googleは、同社の企業文化になくてはならない存在に犬を挙げ「ドッグカンパニー」と称し、従業員にペットの健康保険を提供するなど、さまざまなサポートを行っている。また、イギリスのペット保険会社「MarsPetcare」では、ペットを理由に休みがとれる「ペット休暇」を導入しているという。

「欧米諸国でペットと働くことが受け入れられている理由は、アニマルセラピーが医療行為として広く信頼されていることが関係しています。アメリカやイギリスは、動物を活用した医療(動物介在療法)の先進国ですし、ドイツでは90%以上の医療従事者がその効果を認めている、という調査結果も。欧米において『猫と暮らしなさい』という医師の指示は、正式な処方なんです」

 一方、日本での動物介在療法は保険が効かず医療費が高額になってしまうため、医師側も積極的に患者に提案することができないという。医療現場で使われなければ、認知度が上がるはずもなく、アニマルセラピーという言葉だけが独り歩きしているのが日本の現状なのだとか。

「ストレスを抱えてうつ病に悩むビジネスパーソンはとても多い。メンタルの不調が原因で退職を余儀なくされるケースもあり、社会問題になっています。企業は社員のストレスを解消する方法を見い出せていない一方で、彼らを救うチカラを持つ猫たちが、何万頭も殺処分されている。このミスマッチな現状を解決するのが、ねこ社員の登用なんです。日本の法人企業の約2.5%がねこを受け入れるだけで、現在行われている年間4万6000匹もの殺処分がゼロになる計算です。この企業への受け入れの割合は、アメリカ企業の7分の1程度の水準であり、イギリス企業の水準からみても3分の1以下に過ぎません」

 
 日本では、猫=老人や子どもが飼う動物というイメージが強い。しかし、日々ストレスと戦うビジネスパーソンにこそ、ねこ社員が必要だと樺木氏は語る。

「“どうせペットでしょ”という、猫のイメージを変えるきっかけになれば、と思い、この本を執筆しました。本当の意味でよい仕事をしたいならば、猫と働くという選択肢があってもいいのではないでしょうか」

 この記事を読んで、ねこ社員が優雅に闊歩するオフィスを想像したあなた。ぜひ、ねこ社員の登用を検討してみてほしい。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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