このページの本文へ

「内職」が静かなブーム、子育てママやシニアに人気の理由

2018年04月05日 06時00分更新

文● 吉田 由紀子(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

若い世代が注目
再び脚光を浴びつつある内職

パートやアルバイトよりも収入は少ないが、内職を選ぶ人が増えている。自宅で好きな時間に働け、自由度が高い点が再評価されている(写真はイメージです)

 埼玉県さいたま市に住む永富紗貴さん(25歳)は、4歳と0歳のお子さんを育てるお母さん。育児のかたわら、自宅で書類の封入やシール貼り、値札付け、箱の組み立てといった軽作業を行っている。いわゆる「内職」だ。

 育児をしながら、自宅で好きな時間にできるので、この仕事を選んだ。パートやアルバイトに比べて収入は少ないものの、家庭を優先して働けるとあって、若い世代に内職を選ぶ人が増えつつある。

 永富さんが登録しているのは「内職市場」という愛知県春日井市に本社を構える企業。内職といえば、近所の工場や作業場から請け負うというイメージがあったが、現在は、同社のような仲介企業を介して仕事を請け負うケースが増えてきた。「内職市場」はそのひとつである。

「内職市場」に登録して働いている永富紗貴さんは2児の母。自宅で育児をしながら、空いた時間に内職を行っている。家庭を優先するために内職を選んだ

 昔と比べ、仕事の内容も様変わりしている。まずは「自宅での軽作業」。好きな時間に働けるとあって、永富さんのような育児中の主婦、介護のために勤務は難しいという人が多い。主な作業は、商品の袋詰め、箱詰め、シール貼り、検品、組み立てなど簡単なものが多い。

 2つ目は、「店舗での軽作業」。発注者の要望で、情報が外部へ流出することを防ぐためや、資材や納品物が大物で自宅での作業が困難な場合、企業に出向いて作業を行うパターン。ここまでは従来の内職とさほど変わらない。

 最近増えているのは「パソコンを使った作業」である。「クラウドソーシング」というサービスで、昨今よく耳にするようになったが、言い換えれば「パソコンを使った内職」。仕事は、データ入力、帳票作成、投稿用のレビューライティングなど簡単なものから、高度な作業まで多彩なデジタルワークがあり、自由に選ぶことができる。その他、自宅から多少外出が可能な方を活用した、店舗の覆面調査や写真撮影、家事の代行など、「外出してのフィールド作業」もある。

意欲があれば「内職さん」から
正社員へ登用の道も

「従来の軽作業に加えて、パソコンを使用するデジタル系の業務が増えています」と話すのは、内職市場取締役の安達康浩さん。

 2006年に設立された同社は、現在、全国に47ヵ所に拠点を置き、3500人の作業者が登録をしている。フランチャイズ制を採用しているため、全国展開が可能なのだ。

「規模を大きくすることのメリットはいろいろあります。店舗間で内職者の稼働量を調整することで、大規模な案件や短納期の案件を請け負うことが可能となり、内職さんの収入も安定するようになります」(安達さん、以下同)

 例えば、子どもが急に熱を出した、ケガをしてしまった、急用が発生した、そんな場合も互いに協力をしあうことで、仕事を納期までに納めることが可能。店舗単位での連携強化にも努めており、仕事量が多いときなどは数店舗で対応を行っているという。

 内職をするうちに、もっと働きたいと思えば、社員への登用もある。実際に現在、同社の常務取締役を務める女性は、内職のスタッフとしてスタートし、仕事ぶりや明るい性格が好評で正社員に登用。今は管理部門の担当役員として、会社の中枢として働いている。こういう昇進例もある。

自由度の高い内職なら
シニアも活躍できる

退職後に内職を始めた谷口淑子さん。手先を使う作業が老化防止に役立つという。自分のペースで仕事ができるので、シニア層にも内職は適している

 一方で、昨今増えているのが、シニア層の活躍である。埼玉県上尾市の谷口淑子さん(72歳)は、70歳まで会社に勤務して退職後、内職市場に登録した。現在、婦人服の縫製、手袋の刺繍、スリッパの製造などを行っている。夫との2人暮らしは年金でまかなえるが、健康維持と老化予防のためにと、手先を使う作業を行っている。仕事をすることで生活に張り合いも出て、毎日を楽しく過ごしているという。

「かつては収入を得るために内職をする方が多かったのですが、今はお金より自由を優先する方が大半です。自分のライフスタイルに応じて余った時間を有効活用したい。働くことで社会に貢献したい。そういうケースが多いです。作業者さんの3割は、65歳以上のシニアの方なんです」

 内職市場では、シニア層への配慮も行っている。岐阜県多治見市の美濃焼団地店。ここには、倉庫の隣に運動ができるスペースを設けており、近隣の住民にとって、ちょっとしたコミュニティーの場となっている。

 運営者は富山県の福祉サービスを行っている企業。昨年、内職市場のフランチャイズに加盟した。自社のサービス利用者が、働くことで社会とのつながりを持ち、生きがいを見つけてもらいたい、今後を見据えて収入を得てもらいたい、という思いがあり加盟に至った。

 様変わりしていく内職業界。もちろん外へ出てアルバイトやパートをする方が収入は多くなる。しかし育児、介護、療養など様々な事情を持っている人も少なくないのが現実だ。余った時間を有効に使いたい、副業をしてみたいという方は、内職からスタートしてみてはいかがだろうか。

(吉田由紀子/5時から作家塾(R))


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

最新記事
最新記事

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

QDレーザー販促企画バナー

ピックアップ