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「ネットカルチャー教室」ただいま開講中第10回

子どもがYouTuberを目指すのは悪いことではない

2018年04月03日 17時00分更新

文● ノダタケオ(Twitter:@noda) 編集●ちゅーやん

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 先日、日刊SPA!が配信した「『子どもになってほしくない職業』の1位はぶっちぎりでYouTuber その理由とは?」という記事が話題になりました。

 昨年4月、ソニー生命保険が発表した「男子中学生が将来なりたい職業ランキング」で3位に「YouTuberなどの動画投稿者」がランクインして話題となりました。これを受け日刊SPA!が選択肢をソニー生命保険の調査とほぼ同じとした「子どもを持つ30歳以上の男女100人に子どもに将来なってほしくない職業」を調査したところ、YouTuberがダントツの1位となった、という内容のものです。

 回答では「過激なことをすることによって人気を得る職業」「職業として安定性がない」「今の時代だけ通用する職業で、一生続けていけるものではない」など、大人たちのいろいろな想いを垣間見ることができます。

「ネットに動画を投稿するだけで楽をして稼げる」職業ではない

 でも、大人たちはYouTuberを軽視しすぎです。

 確かに、大型バイクで速度制限を大きく超えた速度計を映し出した動画をYouTubeへ投稿するといった“悪い話題となる動画”のニュースを見れば、「過激なことをすることによって人気を得る職業」と感じるのは仕方がないことです。

 ただ、「ネット上で活動することによって生計を立てている人は皆全てが悪目立ちしたことでお金を稼いでいると誤った理解をしている人は考えを改めるべき」であることは、前回の記事で紹介した通りです。

 メディアなどではYouTuberを「YouTubeの動画再生によって得られる広告収入を主な収入源として生活する人物」(Wikipediaより)と紹介されることがほとんど。しかし、YouTubeのサイト上では、こうした独自に制作した動画を継続的に公開する人たちを「YouTubeクリエイター」と呼ぶように、YouTuberは動画・映像制作をする技術をもつクリエイターのひとりであると思うのです。

 さらには人気のYouTubeクリエイターは一見、テレビで活躍する芸能人と同じように華やかなイメージがありますが、そうではない(見えないところでの努力が求められるような)一面があるように、人気のYouTubeクリエイターも、たった数分の動画をひとつ生み出すために、多くの時間と手間をかけている人がほとんど。

 それが結果的に、広告収入を主な収入源として生活できるクリエイターだけが“人気の”クリエイターとなれるのであって「ネットに動画を投稿するだけで楽して稼げる」のではないのです。

動画制作だけでなく、「企画構成」「マーケティング」など複合的な力が必要

 YouTuberという存在は今どきの一過性な職業なのかもしれません。

 ただ、大人も子どももスマートフォンで動画を見るのが当たり前となったこの時代。確かにYouTuberという職業(言葉)は一過性なものかもしれませんが、動画・映像制作をする技術をもつクリエイターという職業は一過性なものではありません。逆に、動画を作ることができるスキルはこれからの時代に求められるもののひとつになるでしょう。

 将来、子どもたちが「YouTuberになりたい」と言うことはとても良きことだと思うのです。子どもだけでなく、大人でも、いますぐ「独自に制作した動画を公開するYouTubeクリエイター」になれます。ただ「職業として生活できるほどの人気なYouTubeクリエイター」には簡単になれない、とても難しくて大変なことだと思うのです。

 職業としていけるぐらいの“人気”となるために、どのようなスキルを身につける必要があるのかを教えてあげてほしいのです。そして、職業としていけるぐらいの人気となれなかったとしても、YouTuberという職業(言葉)が一過性だったとしても、YouTuberを目指したことによって身につけたスキルは、他の職業でもきっと活かされるはずです。

 それは、動画を編集するためのソフトウェアの操作方法だけに限りません。映像や音声機材の扱い方はもちろん、音声収録のテクニック、よりステキな映像とするためのライティング(照明)や演出のテクニックもYouTuberを目指す上で必要な技術であるといえます。

 さらに、動画を作るためには、コンテンツの企画や構成も考える力も必要です。さらには、より人気のクリエイターとなっていくにつれ、タレント性やカリスマ性、パフォーマンス力なども必要となることがあるでしょう。動画の企画・構成から撮影・編集、そして公開した動画のプロモーションまで、いわゆる、動画マーケティングで求められているような力の多くが結果的に必要となってきます。

 つまり、子どもが一過性と思われる職業「YouTuber」を目指したとして、結果的に人気なYouTubeクリエイターとなれなかったとしても、動画制作のテクニックだけでなく、コンテンツの企画構成のノウハウやマーケティング手法は、大人になり異なる職業についたとしても、活かせる場面はあるはずだと思うのです。

 「YouTuber」という職業をきっかけに、動画・映像制作の技術をもつクリエイターへ子どもたちが「なりたい」と思ってくれることは、これからのスマホ動画時代にとても意義があることだと思うのです。

ライブメディアクリエイター
ノダタケオ(Twitter:@noda

 ソーシャルメディアとライブ配信・動画メディアが専門のクリエイター。2010年よりスマホから業務機器(Tricasterなど)まで、さまざまな機材を活用したライブ配信とマルチカメラ収録現場をこなす。これらの経験に基づいた、ソーシャルメディアやライブ配信・動画メディアに関する執筆やコンサルティングなど、その活動は多岐にわたる。
nodatakeo.com

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