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冬の「睡眠負債」を侮るな!着込み過ぎや温め過ぎは逆効果

2018年02月15日 06時00分更新

文● 真島加代(ダイヤモンド・オンライン

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“眠りが浅くなる季節”といえば夏の熱帯夜をイメージしがちだが、じつは寒さが厳しい真冬も、熟睡を妨げてしまう要素であふれているという。冬と睡眠の関係や、快眠法について上級睡眠改善インストラクターの安達直美氏に詳しく聞いた。(清談社 真島加代)

夏だけではなかった!
冬も眠りの質が低下する理由

寒いからといって、靴下をはいて寝たり、重ね着をして眠りがちだが、実はこれらの行為は良い眠りを妨げる。冬の快眠のコツとは?

 日中のパフォーマンス向上や、疲労回復に欠かせない「睡眠」。熱帯夜が続く夏は睡眠への関心が高まる季節だが、実は、寒さが厳しい冬も睡眠の質が下がりやすい時期だという。

「夏の熱帯夜ほどではありませんが、冬は日中の活動量が減ること、気温の低さ、日照時間の短さの3つの環境要因によって、眠りの質が下がりやすくなります。一般的に冬は睡眠時間が長くなる傾向がありますが、低下した睡眠の質を時間で補っている、とも考えられているのです」

 こう話すのは、『美人をつくる「眠り」のレッスン』著者で上級睡眠改善インストラクターの安達直美さん。

「1つめは『活動量の減少』。眠りに就く前の3時間以内に過度な運動をすると睡眠の妨げになりますが、適度な運動による疲れは深い眠りに必要です。寒さを理由に体をあまり動かさないと、眠りの質が低下する可能性が高いのです」

 寒さにかまけて運動しないのは考えもの。デスクワークの人ならば、帰宅時にひと駅分歩く程度の軽い運動を心がける必要がありそうだ。

 そして2つ目の理由、「気温の低さ」は、寝つきを悪くする原因になるという。

「人の脳と体は深部の温度を下げることで、眠りに就き休息モードに入ります。その際、手のひらや足の裏の血管を通して熱を外に出す“放熱”をおこなうのですが、冷えによって皮膚の温度が下がると足裏などの末端の血行が悪くなり、放熱がうまくいかなくなります。すると、体の深部体温を下げることができず、寝つきの悪さや眠りの浅さにつながってしまうのです」

 じつは、真夏の熱帯夜も外気温が高すぎるゆえに深部体温が下がらず、眠りにくさを招いている。夏の寝苦しさと冬の眠りが浅い原因は同じなのだ。

 そして3つめの理由である「日照時間の短さ」は朝の目覚めに影響している。起床時間に太陽の光を浴びることができればスムーズに目覚めることができるが、日の出が遅い冬の朝は光の刺激を受けにくくなる。

「冬の場合は、日の出が遅いので起床時間に十分な太陽の光を浴びられない人もいると思います。起きたときに光刺激が不足すると、睡眠の維持を助けるメラトニンの分泌が抑制されず、寝覚めが悪くなってしまうのです」

 質のよい睡眠がとれた朝は、眠気を感じずスッキリと目覚められる。スムーズな入眠から心地よい深い眠り、さわやかに目覚めるまでが“快眠の条件”だ。

重ね着のしすぎも靴下もダメ!
冬の夜にやりがちなNG行為とは

 眠りを妨害する3要素の中でも、もっとも睡眠に悪影響を及ぼすのは「気温の低さ」。手足が冷えることで血行不良を招いているが、やみくもに温めればよいというわけではないという。

「美人をつくる『眠り』のレッスン」(中経出版)

「冬場はお風呂上がりにピッタリとした靴下を履いてポカポカさせたまま布団に入る、という冷え症の人もいますが、これはNG。眠る直前に手足を温めることは手のひらや足裏からの放熱を助けますが、いざ眠りに就こうとするときに靴下で足を覆い、体温が下がりはじめる前に布団に入ると、熱がこもってしまい体の熱がうまく放散できなくなってしまうのです」

 実は冬でも、体温が下がらないと寝つきはよくならないのだとか。冷えが気になっても、足は温めすぎないほうがいい。どうしても靴下がないとダメという人には、眠っている間に自然と脱げる、“ゆるい靴下”がおすすめだ。

「電気アンカや電気毛布、湯たんぽなどによる“布団の中の温めすぎ”も逆効果です。布団の中の適切な温度は32度前後。それを超えると体温が下がらず、眠りの妨げになりかねません。布団の中は、入った瞬間に寒すぎない温度にしておけばOKです」

 布団に入れば自分の体温で温度も上がるため暖房器具も必要ない。寒さに怯えて、布団を温めすぎている人は要注意だ。

 冬の寝具として望ましくないアイテムはほかにもある、と安達氏。

「睡眠時、人は一晩で20~30回寝返りを打ちます。そのため楽に寝返りが打てる寝具選びも、快眠を得るための条件です。しかし、寒いからといって寝返りが打てないほどの重くて厚い綿の掛け布団で寝たり、寝間着を何枚も重ねて着たりすると、寝返りを妨げる原因になってしまいます」

 前述したように、体から熱を逃がすことが快眠には必須。その意味でも、厚着や重い布団はNGだ。このように、良かれと思ってしていたことが、裏目に出ている可能性が高いのだ。

冬の眠りを快適にする
おすすめ寝具とは

 真冬だからといって、寝具や寝間着で武装しすぎては逆効果になりうる。それでは、冬の眠りを快適にするにはどのような寝具を選ぶべきだろうか?アイテム別におすすめのものを聞いた。

<掛け布団>

 寝返りを打ちやすくするためにも、できるだけ軽く保温性に優れたものがいい。それらの条件に合うのが、羽毛の掛け布団だ。羽毛布団の中でもダウンの混合率が高いほど、保温性も高くなるとのこと。

「肌に接するカバーは体と布団の間にすき間ができない、しっとりとした素材がおすすめです。本来ならば羽毛布団のみで十分温かいのですが、不安な方は毛布を使ってください。ただし、毛布を使用する際は、重ねる順番に注意。体→毛布→布団の順に重ねるのが一般的ですが、本来羽毛布団と毛布の重ねる順番は逆です。体→羽毛布団→毛布と、一番外側に毛布を重ねたほうが保温効果が高まりますよ」

<敷き布団カバー>

 布団の中の温めすぎは要注意だが、冷たい布団も目が冴えてしまい、入眠を妨げる。そんなときは、敷布団カバーの素材を変えてみるのも一案だ。

「いつも使用している敷布団の上にムートンなどの獣毛素材のベッドパッドやコットンなど天然素材の起毛したシーツをかけると、ひんやり感が軽減されて体温だけで布団が十分温まります。また、獣毛素材は吸湿性に優れているので、寝汗をかいてもベタつかず快適に眠れます。この時期はとくにおすすめですね」

<パジャマ>

 直接肌に接するアイテムにもかかわらず、パジャマにこだわっていないという人も多いはず。しかし、スウェットなどの部屋着類で眠るのは感心しない、と安達氏。

「本来スウェットはパジャマ向きに作られておらず、あくまで部屋着。特に、ウエストや足首のゴムによる締め付けは、熟睡を妨げる原因にもなります。その点では、パジャマは締め付けもゆるく、寝心地の良さを追求して作られているので安心して着られます。おすすめは天然素材のパジャマ。化学繊維に比べて静電気が発生しにくく、肌が弱い人でも快適な着用感がありますよ」

 寝間着は1日のうちで長時間着るもの。“洋服”の一部として特別なものを身に着ければ、眠りの楽しみがひとつ増えるとのこと。

 最後に、安達氏は「寝具やパジャマ、そして睡眠そのものにもっと関心を持ってほしい」と語った。

「寝室の環境や寝具を変えるだけで、質のいい眠りを得られる可能性があります。もし日々の眠りに満足していないようであれば、少しでもいい眠りを目指して環境や寝具を見直してみましょう。日中のパフォーマンスの向上や、精神状態の安定など、快眠によって得られるものは人それぞれですが、それらは人生を豊かにしてくれるはずですよ」

 夏の暑さに比べれば冬の場合、環境を変えるのは簡単だ。少しの工夫が、あなたの睡眠を大きく変えてくれるかもしれない。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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