第21回 「VAIO、法人向く。」の現在を探る
第8世代CPU搭載:VAIO Pro PG/ PFのVAIO TruePafomanceの実力を知る
Core i5をi7より速くする「VAIOの高速チューン」を検証、効果を実感!
1月18日に発表された第8世代インテルCoreプロセッサー搭載モデルのVAIO Pro PG/ PFは、単なる最新世代のCPUを搭載しただけではなく、独自チューニング「VAIO TruePerformance(以下VTP)」を施してきたことで、注目を集めている。今回は、VTPの実力を検証するとともに、オススメ構成をご紹介しよう。
ベンチマークでわかったVTPの効果
今回新たに選択できるようになったのは、Core i7-8550U(1.8GHz / 最大4GHz)とCore i5-8250U(1.6GHz / 最大 3.4GHz)の2つ。CPUが第8世代になったため、メモリー周りも代わり、転送速度が1866MT/sから2133MT/sにアップ。重量は、サーマル部品の追加により約10gアップしている。
サーマル部品の見直しは、VTPのためだ。前回の記事で仕組みを紹介したが、VTPはインテルターボ・ブースト・テクノロジー2.0の動作において、よりパフォーマンスを向上させるようCPUパッケージパワーのリミット値を調整している。それに伴い電源の強化と放熱用のヒートパイプの熱輸送力を従来より33%向上させ、放熱用フィンの熱交換率を10%向上させている。ファンの回転数テーブルのチューニングも施しているが、この放熱力を向上させるための重量アップだ。
第7世代インテルCoreプロセッサーのときに、なぜVTPができなかったのかというと、それはコア数が関係している。第7世代で採用されたプロセッサーは、Core i7-7500U(2.7GHz/最大3.5GHz)とCore i5-7200U(2.5GHz/最大3.1GHz)で、いずれも2コア4スレッドだった。今回採用された第8世代は先述のとおりCore i7-8550UとCore i5-8250Uで、いずれも4コア8スレッドになる。第8世代のほうがコア数は倍になったので、基本動作周波数は抑えられているが、実はこれがVTPを生み出した秘密なのである。
CPUは、電力を増やすと動作周波数が上がりパフォーマンスがアップする。インテルターボ・ブースト・テクノロジー2.0もこれを利用して、一時的に電力を増やすことで最大のパフォーマンスを発揮させる。ただ、そのままでは発熱により動作を維持できないため、持続可能なパフォーマンスまで落とすことになる。電力を上げたとき、パフォーマンスは比例してアップするのではなく、対数関数的に変化するので、1コアあたり同程度電力を上げても、パフォーマンスの増加は動作周波数が低いほうが上がり幅は大きくなる。第7世代の2コアより第8世代の4コアのほうが動作周波数は低いため、第8世代のほうが上がり幅は大きくなる。しかもそれが4コアぶんなので、大きな効果も期待できるわけだ。このため、上がり幅が低く2コアだった第7世代は、あまり旨味がないのでVTPの適用は見送られたのだ。
実際、Core i7-8550U 搭載モデルでVTPをオン/オフしたとき、動作周波数にどのような変化があるのかCPU-Zを使ってチェックしてみた。アイドル状態だとどちらも800MHzから1GHzあたりで動作していたものが、負荷をかけると(ここではCPU-Zでストレステストを使用)ターボブーストが掛かって最大動作周波数までアップ。その後、持続可能になる周波数まで落ちるが、このときVTPオンとオフの差が200MHz程度違っていた。
VTPのオン/オフは、VAIOの設定ツールの「CPUとファン」で「パフォーマンス優先」にするとVTPがオンになる。第7世代でもこの設定があるので、Core i7-7500U搭載モデルでも同様に測ってみたところ、「標準」と「パフォーマンス優先」の差は30MHz程度とごくわずかだった。
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