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年末恒例!今年のドメイン名ニュース 第9回

汎用ドメイン名100万件突破!など、ドメイン名にまつわるニュースを総括する

ルートゾーンKSKロールオーバー期間延長など、2017年の「ドメイン名ニュース」

2017年12月27日 07時00分更新

文● 渡瀬圭一 編集● 大谷/TECH.ASCII.jp

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3位 EUの一般データ保護規則がWhoisに与える影響についての議論

 3位は、EUのGDPR(General Data Protection Regulation:一般データ保護規則)に関連して、Whoisが影響を受けているという話題である。GDPRとは、2018年5月25日からすべてのEU加盟国に直接かつ一律に適用されることになる、EUの個人情報保護制度である。

 ご存じのように、インターネットにおいてWhoisの存在は重要である。あるネットワークへのアクセスに問題が起こった場合の連絡先情報や、ドメイン名と商標に関するトラブルの自律的な解決のために必要な情報の提供など、これまでに多くの問題解決に寄与してきた実績もある。

 しかし、Whoisには個人情報も含まれること、GDPRの運用に不明確な点が多いにもかかわらず制裁金が高額であるといった理由などから、事業者がWhoisの提供そのものに及び腰になっているのが現状である。今後どうなるのか、継続して追いかける必要がある問題のひとつではないだろうか。

4位 Mルートサーバーが運用開始から20周年

 4位は、Mルートサーバーが20周年を迎えたという話題である。Mルートサーバーは、世界に13系列あるルートサーバーのひとつで、WIDEプロジェクトによって1997年8月にアジア太平洋地域で唯一のルートサーバーとして運用が開始された。その後、2005年からWIDEプロジェクトとJPRSの共同運用となり、現在に至っている。

 現在では、世界中にルートサーバーが分散配置されているが、Mルートサーバーが運用を開始する以前、そのほとんどは米国内に存在していた。DNSの名前解決はルートを起点として始まることから、必然的にルートサーバーへのアクセスが発生する。ルートサーバーが近いところにあれば通信にかかる時間が短縮し、名前解決のレスポンスも向上する。また、国際回線にトラブルが発生しても、国内で名前解決できることになるため対障害性も向上するというように、ネットワーク的に良いこと尽くめである。

 Mルートサーバーは、そうした理由から日本に設置された。Mルートサーバーの「M」はアルファベットの13番目であり、日本がインターネット先進国であったことを示す証ではないかと思う。

5位 インターネットを初期から支えてきたSteve Crocker氏がICANN理事長を退任

 5位は、Steve Crocker氏がICANN理事長を退任したという話題である。筆者にとってSteve Crocker氏といえば、2016年のIANA機能※2に対する監督権限をグローバルなマルチステークホルダーコミュニティに移管するという議論の中で、共和党のTed Cruz上院議員らがかけたプレッシャーに対し、ICANNは中国・米国含め、どの国・どのステークホルダーに対してであっても、対等・等距離・是々非々の姿勢で活動を進めていく姿勢を毅然とした態度で示したことを思い起こさせる(※3)。

 ICANNの独立性を守り、米国政府の監督下を離れ、グローバルなマルチステークホルダーコミュニティによって支えられるICANNとなったことを、彼の功績抜きに語ることはできないと感じている。ちなみに、サインなどを見ると「Stephen Crocker」となっているが、ICANNの公式表記では「Steve Crocker」となっている。

※2 ドメイン名、IPアドレス及びAS番号、各プロトコルで使われるプロトコル名及び番号といったインターネット資源を管理する機能のこと。現在ではICANNの一機能になっている。

※3 Steve Crocker氏のレター(英文、PDF)

番外編 研究開発用gTLD「.jprs」における電力系ISP8社との共同研究の成果を公開

 番外編には、JPRSと電力系通信事業者(ISP)8社による共同研究の成果が発表されたことが選ばれた。.jprsは、インターネットに関する自律的な研究ができる環境を提供し、その運用を通じて得られた知見を広く役立てることを狙いとしているgTLDであるという。

 今回の発表は、その第一弾ということだろう。今後、こうした場で得られた研究の成果が活用され、さらなるインターネットの安定運用につながることを期待したい。

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