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外食値上げラッシュの裏事情、ビールも米も牛肉も人手も高騰

2017年12月05日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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外食業界では、居酒屋を中心としたグループ飲み客だけでなく、業態の垣根なき“ちょい飲み客”の争奪戦が繰り広げられている。客を引き寄せる材料となるアルコールの値上げは、外食店にとって痛い Photo:123RF

ビール大手4社が業務用ビール類の値上げに踏み切った。米や牛肉などの食材費も、さらには人件費も上昇し、外食業界にメニュー価格値上げの大波が押し寄せている。コスト高にどう立ち向かうか。外食バトルは新局面を迎えた。(「週刊ダイヤモンド」編集部 山本 輝、臼井真粧美)

 居酒屋で席に着いたら、まずはジョッキを掲げて「はい乾杯!」。この風景こそ昔と変わらないが、今やジョッキの中身がビールとは限らない。

 人気の串カツ専門居酒屋チェーンである串カツ田中の店内を見回すと、客の半数近くは1杯目からハイボールだ。アルコールのメニュー表ではハイボールが一番目立ち、サイコロを振って出た目によって価格を割り引く「チンチロリンハイボール」を最初から最後まで注文し続ける客は多い。

 なぜハイボールを押すのか。「串カツにはハイボールが合う」と店側は説明するが、経営面でのメリットも大きいはずだ。

 一般に、料理より原価率が低いものが多いアルコールメニューは居酒屋の稼ぎ頭だが、ハイボールなどに比べてビールは原価率が高く、もうけが小さい。「1杯目はビールという作法を覆したい」と考える居酒屋は少なくない。

 そんな中ではあるが、アサヒビール、サントリービール、キリンビール、サッポロビールのビール大手4社は相次いで、外食店などに向けた業務用ビール類を2018年3~4月に値上げすると発表した。値上げは10年ぶり。値上げ幅は公表していないが、10%程度になりそうだ。

 理由として各社は、酒類の過度な安売りを規制する改正酒税法が6月に施行されたことや、物流費の高騰などを挙げている。

 業務用の値上げはビール類以外の酒類でも一部行われるが、外食店にとって、もともと原価率が高いビールは仕入れ値の上昇分を吸収できる余地がとりわけ小さい。外食各社はメニュー価格の値上げを検討し始めている。

 もっとも、価格改定が検討されるのはビールを中心としたアルコールメニューに限らない。料理に使う材料の仕入れ値も上がっているからだ。

 その代表格が米である。主食用米の消費が減少する中で、政府は飼料用米への転作を促す補助金を出しており、転作が進んで業務用米の供給が減ったことによる。

 人手不足で賃金が上昇し、外食業界では人件費も膨らんでいる。ビールメーカーが値上げの理由に挙げた物流費高騰もまた、物流業界の人手不足が主因。各方面の人件費上昇が外食産業へのプレッシャーになっている。

 外食経営では、売上高に対する食材費と人件費の比率を約6割に収めるのが一般的な目安とされる。コストの双璧がそろって上昇している以上、価格に転嫁しなければ、利益を捻出するのが難しくなる。

 では、ドミノのごとくコスト上昇分を価格に転嫁すれば万事丸く収まるかといえば、事はそう単純ではない。

値上げラッシュ
鳥貴族は28年ぶり
すき家の牛丼も

 低価格で人気を集める焼き鳥専門居酒屋チェーンの鳥貴族は10月、メニュー価格を全品一律280円(税抜き)から298円(同)に引き上げた。今回の値上げは実に28年ぶりの決断だった。

 冒頭の串カツ田中は料理メニューの価格を据え置きつつ、7月にビールを含む一部アルコールメニューを値上げした。

 ビールのメニュー価格については、ファミリーレストラン大手のロイヤルホスト、ラーメンチェーン大手の日高屋、天丼チェーン大手のてんや、急成長するステーキチェーンのいきなり!ステーキなども今夏以降、すでに値上げへと踏み切っている。

 そして、巨人も動いた。外食最大手のゼンショーホールディングスは11月末、牛丼チェーン最大手であるすき家で牛丼など一部メニューの値上げに踏み切った。米や人件費のほか輸入牛肉の価格上昇などを受けてのもので、増量などを伴わない純粋な牛丼の値上げは3年ぶりだ。

 「中盛」と「大盛」は10円、「特盛」「メガ」は50円引き上げる。ただし、最も注文の多い「並盛」の価格は350円(税込み)から変更しなかった。客離れを防ぐためである。

 食材費と人件費の高騰は今後も続く可能性が高く、さらには消費増税もちらつく。消費者の節約志向が高まる中でメニュー価格を上げれば、客はより安くて代替となり得るメニュー、あるいは他店や中食市場へと流れかねない。たとえ客単価が上がっても、客数が減ってしまえば、売り上げに響く。

 人気の移り変わりが激しい外食業界では、波に流されるだけでは埋没する。逆張りで価格を据え置いて集客増を狙ったり、「まずはビール」の壁をぶち破るアルコールメニューで勝負を仕掛ける店も出てくるだろう。

 業界を襲うコスト高のピンチを自社のチャンスにできるか。逆転の機会をうかがう低迷チェーンほど、戦略の差別化を問われる局面が訪れている。


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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