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三菱ケミカルの業績絶好調を支える「プラスチックの女王」とは?

2017年11月21日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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三菱ケミカルは、サウジアラビアのSABIC(サウジ基礎産業公社)と組み、現在は新型設備を試運転中だ(写真はシンガポールのMMA工場) 写真提供:三菱ケミカルホールディングス

 11月上旬に相次いで発表された総合化学メーカーの中間決算(2018年3月期)は、08年のリーマンショック前以来の、ほぼ10年ぶりとなる空前の好業績に沸いている。

 大手8社の純利益は、三菱ケミカルホールディングスが1004億円(前年同期比26.9%増)、信越化学工業が1107億円(26.6%増)、住友化学が685億円(256.3%増)、旭化成が708億円(33.9%増)、東ソーが403億円(62.0%増)、三井化学が381億円(37.5%増)、宇部興産が157億円(122.1%増)、積水化学工業が342億円(31.2%増)と、そろって過去最高を記録した。

 当然ながら、各社が力を入れている石油化学基礎製品や誘導品(派生品)の種類は異なっている。だが、17年前半は欧米で設備トラブルが起きたり、中国で環境規制が強化されたり、米国に大型ハリケーンが上陸したりしたことから、全体的に需給バランスが引き締まった。そうした中で、全ての化学製品の大本となる「エチレン分解装置」をフル稼働できた日本勢は、想定以上の恩恵を受けたのだ。

過去の苦い教訓を生かす

 とりわけ、今回の中間決算で目を引いたのは三菱ケミカルが注力するMMA(メタクリル酸メチル)だ。業界で「プラスチックの女王」といわれるアクリル樹脂の“素(もと)”となる原料である。

 ここ数年、同社はMMAだけで年間数百億~1000億円の利益を稼いできた。MMAは、透明で退色しにくいアクリル樹脂へと姿を変えてから、水族館にある大型の水槽や各種の屋外看板、デジタル機器の表示板、筆記用具などに使われており、新興国でも人気が高い。

 原料としてのMMAは、旭化成、住友化学、三井化学なども扱うが、あくまで石油化学製品の一品目にすぎず、特別扱いはしていない。

 ところが、09年にMMAで世界トップだった英国の有力メーカーを買収し、約40%のシェアを握る三菱ケミカルは、「第3の製造法」(新エチレン法。先行する複雑な二つの製法と異なり、直接、原料を取り出す。原価は約半分になる)を武器に、欧州、北米、アジアと広域展開する。その上、最も原料が安いサウジアラビアで新型設備を試運転中で、シェールガスに沸く米国では22年以降の新規稼働を目指して事業化調査を続ける。

 三菱ケミカルは、かつてプラスチックの原料(高純度テレフタル酸)での価格競争に耐え切れず、中国と中国メーカーに牛耳られたインドから撤退した──。

 MMAの領域においても、いずれ中国メーカーが伸びてくるはずだが、その前に意図して中国以外の国々に分散させてきた計9カ国の地産地消ネットワークで、市場の主導権を手にできるか。中国にMMA工場を持ちながら、世界に包囲網を移す三菱ケミカルの動きは興味深い。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 池冨 仁)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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