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「Oracle OpenWorld 2017」2日目基調講演、Oracle Cloudの導入顧客も多数登壇

「Oracle Autonomous DB Cloudは過去最高の発表」ハードCEO

2017年10月05日 07時00分更新

文● 大河原克行 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 米オラクルが開催中(10月1日~5日)の「Oracle Open World 2017」。開催2日目、10月2日の基調講演には同社CEOのマーク・ハード氏が登壇した。「The Cloud:Transformational.Innovative.Foundational.」をテーマに、クラウド活用でビジネスを変革した事例を、3社のユーザー企業登壇やビデオを交えながら紹介。さらにオラクルのクラウド戦略についても説明した。

米オラクルCEOのマーク・ハード(Mark Hurd)氏

 なお基調講演の冒頭、ハード氏は前日(10月1日)深夜にラスベガスで発生した銃乱射事件に言及。「ラスベガスは、米国にとっても、オラクルにとっても大切な街だ。オラクルの社員もおり、顧客もいる。さまざまなイベントをラスベガスで開催してきた経緯もある。ラスベガスの方々に祈りを捧げたい」と哀悼の意を表した。

世界経済とIT投資の停滞にもかかわらずオラクルは好調とアピール

 ハード氏はまず、世界経済とIT業界の現状を語ることから始めた。過去5年間の世界GDP成長率は約2%であり、「すばらしい成長」とは言えない。さらに、その成長の4割は中国から生まれており、中国を除くと1%程度の成長にとどまる。そしてGDPと企業の成長には密接な関係があり、実際に企業の平均的な成長率も1%程度にとどまっている。

 経済の低成長は、IT業界にも大きな影響を与えている。世界GDP75兆ドルのうち、およそ1兆ドルがIT投資に回されると言われるが、「これは5年間ほとんど伸びていない」。つまりGDPとIT投資も深く連動しており、特にBtoB領域のITは「その影響を受けて成長が止まっている」。しかしその一方で、コンシューマー領域(BtoC)のITは毎年約20%の成長を遂げている。IT業界は「BtoBは弱く、BtoCが強いという状況だ」。

 そうした厳しい状況下でも、オラクルは順調に成長していることをハード氏は強調する。「IT業界全体の成長率は1%増だが、オラクルは7%増で成長をしている」と述べ、これは他社からシェアを奪っていることを意味していると説明する。そして、Oracle Cloudの優位性や事業成長に話を移した。

 その中でハード氏は、前日の基調講演で発表された「Oracle Autonomous Database Cloud」の価値をアピールした。現在の企業では、CEOの仕事として「リスク管理」も重要視されているが、他方でCEOには短期間で成果を出すことも強く求められており、業績を重視してセキュリティ投資を見送るようなケースも出ている。Autonomous Database Cloudならば、自律的、自動的にセキュリティパッチの適用やアップデートを行うため、そうした側面でも価値がある、というわけだ。

 「ある金融機関幹部は、システムのパッチ適用まで4~5カ月かかると嘆いていた。Oracle Autonomous Database Cloudは、自律的にパッチを当てることができ、すべてを自動化できる。CEOにとっても有益なクラウドだ」(ハード氏)

 ここでは、過去5年間のOracle Open Worldでのエリソン会長兼CTOの基調講演の映像を流し、「これだけ多くのクラウドポートフォリオを生み出し、機能を提供してきた。昨日の基調講演での発表は、過去最高の発表になった」とし、Oracle Autonomous Database Cloudが重要な意味を持つクウラドサービスであることを強調した。

1日目基調講演で発表された「Oracle Autonomous Database Cloud」は、自律的運用によりアップタイムを高め、チューニングも自動的に行う(画像はオラクルWebサイトより)

「2025年のIT環境予測」への批判に対し“再反撃”

 ハード氏は今年1月の「Oracle CloudWorld」の基調講演において、2025年にITを取り巻く環境がどう変化しているのか、その予測を発表していた。その内容は、2025年には「本番稼働のアプリのうち、80%がクラウドで動いている」「アプリの開発およびテストは、すべてクラウドで行われる」「企業が所有するデータセンターの数は80%減少する」「すべてのエンタープライズデータがクラウドに格納される」といったものだ。総じて言えば、企業IT環境のクラウド移行はこれからさらに勢いを増すという予測だ。

ハード氏が発表していた「2025年のIT環境予測」

 このハード氏の予測に対しては、Twitterを通じて多くの反論が寄せられた。たとえば「あなたはクラウドのことも、未来のことも、感動するくらいまったく理解していない」「2025年には、あなたは絶対にCEOとしては残っていない」「あなたの予測は絶対に当たらない」など、反論や指摘と言うよりも「反撃」のようなものだとハード氏は語る。

Twitterに書き込まれたハード氏の「予測」への反論

 「そこで今日は、この予測がどこまで進展したのかを検証したい」と、ハード氏は切り出した。たとえば企業データセンターの数については、「現時点で15%減少しており、スペースも11%の減少、予算は12.8%の減少だ」とIDCなどの調査データを示し、「2025年までこれが続くとどうなるのかがわかるだろう」と述べた。また開発テスト環境についても、100%クラウド化している企業はすでに52%に達しており、これは前年比20%増の伸びだと指摘。また本番環境のアプリについても、現時点でクラウド化されているものは14%だが、2年後には23%になるとの予測を示した。エンタープライズデータのクラウド移行についても、シスコシステムズの「2020年までに88%がクラウドに格納される」という予測を紹介した。

ハード氏はひとつひとつデータを挙げて“再反論”した

 こうした結果を並べて、ハード氏は「今の時点では、わたしが(予測で)勝っていると言えるだろう」と述べ、「自分の意見に自信がないのならばツイートしない方がいい」と“再反撃”して見せた。

Oracle Cloud導入顧客としてFedEx、Bloom Energy、GAPが登壇

 このあとハード氏は、Oracle Cloudの導入顧客を壇上に招き入れ、導入事例を紹介していった。

Oracle Cloudの顧客を壇上に迎え、対話形式で進めた

 顧客の1社であるFedExからは、トランスフォーメーション担当VPのクリス・ウッド氏が登壇した。同社では、物流のための航空機やトラックに投資する一方、グローバルのネットワークにも投資しており、貨物を運ぶだけでなく、倉庫管理や在庫管理といったサービスを通じて付加価値を提供したいと考えている。社内ITリソースも「価値」を生むためのものにするため、コストを低減させながらも、多くの機能を提供し、俊敏性を高めていく方針だ。その実現のために、小規模なシステムからクラウド移行を進めているという。

 「クラウドの活用によって、プロジェクトを完遂する時間を短縮することに加えて、信頼性、拡張性にも期待している。オラクルは真のパートナーになろうとしている。当社独特のニーズも把握し、それをクラウドにどう適用するかを知っている。今後、オラクルの開発チームとの連携を深めたい」(FedEx、ウッド氏)

 シリコンバレーを拠点とする電力会社、Bloom EnergyでCEOを務めるランディ・ファー氏は、クリーンで信頼性の高い電力を効率的に提供するのが同社の役割であり、顧客にはアップルやeBay、AT&T、ウォルマートなどが名を連ねると語る。Oracle Cloudの活用前はオンプレミス環境で多くのシステムが稼働しており、運用のための人員も多く、コミュニケーションにも問題があったため、業務に時間がかかっていたと振り返った。

 「Oracle Cloudのプラットフォームに移行することで、よりタイムリーで、正確なデータを活用でき、会社の急成長のスピードにも追随することができるようになった」(Bloom Energy、ファー氏)

 衣料小売のGAPでEVP兼CIOを務めるポール・チャップマン氏は、全世界90カ国に約300のグループ企業と約400のフランチャイズストアを抱える同社のグローバルサプライチェーン構築において、Oracle Cloudが大きく貢献していることを紹介した。

 「オラクルとのパートナーシップは、およそ20カ月に及んでいる。かつては(GAPが)個別の製品を購入するだけの関係だったが、アカウントチームを用意してもらい、われわれのニーズに耳を傾けてくれるようになった。(小売業向けソリューションの)『Oracle Retail』がクラウドで活用できるようになり、他社の一歩先を進むことができた。IT部門の予算は削減しなくてはならないが、それと同時に、新たなニーズに、新たなテクノロジーで対応しなければならないという課題もある。セーブした予算を、顧客が求めているものに投資することが大切だ。Oracle Cloudであればそれが実現できる」(GAP、チャップマン氏)

 そのほかにも、Caesars Entertainmentやサンノゼ市、Lyftにおける活用事例がビデオで紹介された。

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