このページの本文へ

日産が新型リーフ販売目標の「数字」を明確にしない事情

2017年09月12日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷
日産自動車が発表した新型リーフ。販売低調だった旧型のリベンジは成るか Photo by Takeshi Shigeishi

「世界が本格的なEV(電気自動車)の時代へ動きだしている。このタイミングで日産の技術の粋を詰め込んだ新型リーフをお届けできる」。9月6日、日産自動車の西川廣人社長は千葉県の幕張メッセで、世界中から詰め掛けた報道陣を前に、やや興奮気味に話した。

 この日、幕張メッセのワールドプレミアでお披露目されたのは、世界に先駆けて10月2日に日本で発売されるEV「リーフ」の新型モデルだ。

 初代リーフは2010年の発売以来、累計28万台超を売り上げ、“世界で最も売れたEV”という触れ込みだ。だが日産自身が掲げた販売目標を大幅に下回っているのも事実で、新車販売全体に占めるEVのシェアもかつて喧伝されたほどの伸びはない。

 日産も現在の販売実績について「期待値より売れていない」と認めている。その理由はEV普及を阻む三つの“壁”があるからだ。

距離、充電、価格が決め手

 最大の壁が1回の充電で走れる航続距離だ。これを打破するため、新型は電池の容量を大きくし、航続距離を従来の1.4倍の400キロメートルに延ばした。これにより日産は「平均的なドライバーであれば1週間に1回の充電で十分」としている。

 二つ目の壁、充電インフラについても、10年に全国で360基だった急速充電器が、現在は7000基以上に増え、初代発売時より格段に充実している。EVの認知度も高まっており、確かに販売拡大の外部環境は整いつつある。

 そして越えなければならない三つ目の壁が、価格だ。

 新型リーフの車両本体価格の最安値は315万円台。国から支給される補助金を活用すれば、270万円台で購入できる。その上で、高速道路の運転支援や自動駐車、アクセルペダルの操作だけで停車可能な機能など、日産が持つ最先端技術を惜しげもなく盛り込み、“お買い得感”を演出している。

 日産はこうして三つの壁をブレークスルーし、「これまでリーフ購入を控えていた方の不安は払拭された」(星野朝子専務執行役員)とするが、80%の充電に40分かかることや、必ず起きるバッテリーの劣化などを、どう評価するかはあくまで購入者だ。

 新型リーフの販売目標については「初代の2~3倍」(同)とするが、数字を明確にしないのは、旧型が目標に届かずに苦い思いをした経験があるからだろう。ライバルメーカーからも、「弱気の表れではないか」との声が上がる。

 競合として米テスラが取り沙汰されるが、シェア拡大にはハイブリッド車などからの顧客奪取が欠かせない。つまりライバルは全ての内燃機関車だ。

 果たして日産はEV新時代をけん引する覇者になり得るか。新型リーフの販売実績がその試金石となる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 重石岳史)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

カテゴリートップへ

ASCII.jp ビジネスヘッドライン

アスキー・ビジネスセレクション

ピックアップ