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メガバンクが地銀に「住宅ローンを販売」する不思議

2017年07月05日 06時00分更新

文● 週刊ダイヤモンド編集部(ダイヤモンド・オンライン

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新しい経営戦略の中で、メガバンクは住宅ローンを使った新たなビジネスモデルを模索しているようだ Photo by Takahisa Suzuki

 メガバンクが住宅ローンの“新商品”開発を検討し、地方銀行に対する“販売”をもくろんでいるという。あるメガバンク関係者が明かした。

 ただ、その「もくろみ」には多くの疑問が浮かぶ。住宅ローンは「売る」ものではなく「貸す」ものであり、ターゲットが個人ではなく銀行という点も異例だ。

 さらに、住宅ローン事業は金利引き下げ競争が招いた消耗戦によって、もうからなくなって久しい。大手銀行のホームページをのぞくと、変動金利で年0.6%台という地をはうような貸出金利の数字が躍っている。そこに“新商品”の投下が検討されているというのだから、謎は深まるばかりだ。

 種明かしをすると、その“新商品”とは、住宅ローン融資で生じる貸出債権だ。債権に関する権利義務関係は銀行に残したまま、経済的なリスクとリターンを切り離して投資家に販売する、ローン・パーティシペーションと呼ばれる手法を想定しているという。

 この発想には、近年メガバンクが注力している戦略と同じ狙いがある。自ら手掛けた融資案件を証券化や信託化によって金融商品に仕立て直し、他の金融機関や事業法人などの機関投資家に販売する、オリジネーション&ディストリビューションという戦略だ。

 メガバンクがこの戦略に注力する背景には、国際金融規制がある。国際的にビジネスを展開する金融機関には厳格な自己資本比率規制が定められており、この値を下回れば市場から強制退出となる。

 自己資本比率の分子は資本で、分母はリスクアセットという融資の貸し倒れなどのリスクを加味した資産だ。そのため、銀行の伝統的な本業である融資事業を拡大すると分母が膨らみ、自己資本比率が下がるというジレンマに陥る。

 ところが、融資で生じた貸出債権を売却して切り離せば、銀行はリスクアセットを増やさずに済む。また、それに伴って収益源は貸出金利から金融商品の販売手数料に変わる。そんなビジネスモデルの転換を図っているのだ。

売れ筋は海外の融資案件

 ただ、メガバンクが注力するこの戦略の下では、主に海外の融資案件を対象に金融商品化と販売が行われてきた。国内案件と比べて収益性が高いが、海外に足場がないためにリスクを評価し切れない。そんな地銀などにとって、メガバンクという信頼できる売り主が販売する海外融資案件には、買う側としてもうまみがあるからだ。

 一方、今、“新発売”を検討中という住宅ローンは、地銀自身も知見を持ち、収益性も低い商品だ。冒頭のメガバンク関係者は、「地銀が手薄い証券や信託のビジネスで彼らと代理店契約を結んで協業する」ことも併せて検討しているというが、住宅ローン債権に飛び付かざるを得ない状況とは、地銀にとって極限状態といえる。

(「週刊ダイヤモンド」編集部 鈴木崇久)


※本記事はダイヤモンド・オンラインからの転載です。転載元はこちら

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